漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

困難創生施策

■秋晴れの気持ちのいい日。スタッフ送迎で車を走らせるのも楽しい。葉っぱが落ちだしてからのドライブが好きなのだが、長く続かないのが北国のさみしいところ。

■さて、話題の埼玉県虐待禁止条例改正。内容が明らかになり反対の署名運動も起きている。

www.saitama-np.co.jp

■そもそも小学校の、特に低学年の子が学校へ行かなくなると保護者は困る。家に置いて出かけられない。多くの家庭の、主に母親の働き方に影響が出る。昨年、登校拒否・不登校を考える全国ネットワークがとったアンケートでは働き方を変えた保護者は69.8%、そのうち12.9%が休職や転職をしている。収入が減った家庭は32%だった。

■改正案が通れば不登校の小学生がいる家庭にさらなる影響が出る。子供を家に置いて仕事や買い物に行くのは「放置」とされ、小3までは禁止、小4から小6までは努力義務となる。18歳未満の子と小3以下の子が一緒に留守番するのもダメ。県民には通報の義務が課せられる。

■保護者は働き方を変えざるを得ない。シングル家庭は死活問題になる。といって虐待になるからと無理に学校に行かせる、あるいは不登校特例校、教育支援センター、フリースクールなどに通わせるのは登校圧力にしかならず事態を悪化させる。

■かくて不登校の子のいる家は「困難家庭」となる。自治体は相談機関を充実させるというだろう。支援先を増やし適切なサポートへつなげると説明するだろうがなんのことはない。わざわざ険しい道に変え「困難」をつくっているだけだ。もちろんいまでも困っている保護者はいる。必要なのはそのための施策で、タガをはめ余計に困らせることではない。

■子供をだしに無理を通す。ああ、これが「こども真ん中」ってヤツかと思うと同時に、埼玉県は家庭教育支援や「親学」の先進地域だったのを思い出す。条例改正と関係ありやなしや。

hyouryu.hatenablog.jp

■おまけ。戸田市メタバースでの不登校支援をしているが、それを利用すれば家に保護者がいなくても「放置」にはならないのだろうか。利用中に「放置」がわかればスタッフは児相に通報するのか? それとも他県のスタッフなら通報義務なしか?(10/9朝)