漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

捗りマン

■皆さんこんにちはボラスタの山川です。

■最近パソコンでビートを作るソフトがあるんですが、まったく開いてないんですよね。というか開けなくなりました。開いた途端に他の事をやりたくなってしまうんですよね。Netflixを見たりYouTubeを見たり気が付くと3時間くらいYouTube観ていて眠くなって作業をせずに寝るみたいな感じなんですよね。それで思ったのは家で作業するよりも、漂着で作業する方が捗ることが分かりました。漂着だと1時間くらい作業して動画見て休憩してまた作業してまた動画見て休憩で結構作業が進むんですよね。家だと動画見てで終了になるの本当に直したいです。別に誰かに頼まれたわけではないけど一日集中して音楽とか作ってみたい。本当はカフェとかいって作業できるのが一番いいんだけどWi-Fiないと音楽ソフトが機能しないんですよね。フリーWi-Fi増えろ!

Netflixとかもお酒飲んで映画とか見始めたら止まらなくなっちゃうんですよねぇ。全集中極めます。ではまた。

ランニング

■朝のランニングの調子が良くて、5月に走り出したころから1分くらいタイムが縮んでいた。体が変化するのは楽しい。そして、何かが変わるという時に想定する時間は、こういう身体的なものによって考える方がいいのではないかと思う。ついつい、分かったら変わるはず、と頭で考えることを優先しがちなのが人だ。でも、ゆっくりじんわりと変わるんだよな。

■大体、1分縮むのだって直線的に速くなっていったわけじゃない。8月の暑いときには走るのをサボっていた時期があり、タイムが落ちた。それが9月に入り少しずつ戻っていく。1日6キロくらい走るのだが、3キロ目で一休みして歩いていたのが、いつの間にか4キロ目で休むようになり、またしばらくすると5キロ目で休むようになり。とうとう、6キロ全部を休まず走ることができるようになり、速くなっていった。これもまた変化の在り方を頭で考えて直線的になりがちなのを、ランニングを通じて体で思い知ることになり、楽しい。

■寒くなってきたので冬はどうしようかと考えているところだが、とりあえず11月中くらいは走れるかな。夜明け前に走るのもまた楽しい。(火曜日)

公約くらべ

立憲民主党衆院選挙に向け「この国に生きる全てのあなたへ」と題した動画集を発表した。109の「あなた」へ枝野代表が語りかける構成になっている。そのなかに「学校へ行けない・行かないあなたへ」というメッセージがある。

youtu.be

■「学校へ行きたくない」「学校がつらい」「学校が嫌い」と思うのはあなたのせいではない、大人の責任と断じ、誰もが過ごしやすい学校を目指す。そのために専門家の配置を充実させ、少人数学級を進める。学びの場は学校だけではない。どんな境遇に置かれても、どんな選択をしてもちゃんと学べる環境を整える。「あなたがあなたの選択でそれぞれの事情に合わせてしっかりと学ぶ場を確保する」そうした社会をつくると結ぶ。

■そのひとつの方策が「フリースクールへの支援」。立憲民主の政策集にも記載されている。

いじめや不登校、部活動、進路など、子どもたちの悩みや苦しみに寄り添うため、さらなる少人数学級の推進、学校現場への専門家配置、フリースクールへの支援を積極的に行います。
立憲民主党「政策集2021」 p.113)

■たとえば自民党の政策集にはフリースクールの文字はない。不登校については「重大ないじめや児童虐待、自殺、不登校発達障害への対策を強化するため、支援スタッフを充実し、関係者や関連機関が連携して、1人1台の情報端末も活用して、相談・支援できる体制を強化します」(令和3年政策BANK p.11)とあるのみだ。安倍元首相は施政方針演説で何度かフリースクール支援に振れていたが、いまの自民党の潮流はフリースクールから去ったらしい(でも、先日の総裁選では河野太郎がどこだかのフリースクールを見学してたな)。

共産党の教育政策は現在準備中で詳細はわからなかった。基本は教育無償化を進めるのだと思う。フリースクールについては2004年に「フリースクールなどへの公的支援は子どもの権利を保障する上で必要不可欠な措置といえます」と答えている。まだサイトに載っているので方針転換はしていないのだろう。

公明党は「衆院選マニフェスト政策集」のp.40~41でフリースクール支援を謳っている。さらに、「障がいが理由で不登校となっている子どもたちに対し、訪問教育による指導を充実します」だそう。「子ども・子育てマニフェスト2021」という子供向けのパンフレットでも

いじめや病気などの事情を抱えて登校できない場合でも、希望すれば学べるよう、オンライン教育やフリースクール、夜間中学などで学習できるようにします。

と書いている。

■「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」とポスターを掲げておいてあっさり反故にした政党もある。選挙公約は眉に唾して見るくらいでちょうどいいのかもしれない。フリースクール支援にもそこまで期待しているわけではないが、立憲民主の動画がちょっとおもしろかったので、ついでに調べてみた。「不登校」と呼ばず「学校へ行けない・行かない」としたあたりは勉強したんだなという感じがする。でも、「学ぶ場を確保する」理由は「あなた一人ひとりによって日本の未来があります」だかららしいけどね。その子のためじゃないんだ。「子ども省」もよくわからんしのう。(10/18夕)

不登校に関する調査研究協力者会議その4

■今回は資料の中で横浜市教育委員会が出した「不登校対策の現状と課題」というパワーポイントファイルを見てみる。多分ここにあるものは、小中学校の現場で行われている不登校対応のモデルケースだ。
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318-5.pdf

横浜市の人口は377万人と札幌の1.9倍超。令和2年度の統計では横浜市不登校は5687人、札幌市の3475人に比べて1.6倍程度になっている。資料の分析では、中一生の不登校が増えていると赤文字で書いてあるが、これは何年も前からわかっている全国的な傾向であり、取り立ててここを強調する意図はわからなかった。そして、不登校の背景要因は複数が絡み合っていて、満たされていない様々な児童生徒のニーズの表出が不登校である、と分析し、対策として1、より専門的なアセスメントに基づく支援(専門性に基づくチーム体制)2、児童生徒の様々なニーズを満たす学校環境の整備(学校風土づくり)が挙げられている。

■状況概観した上で、ある中学校の取り組みを挙げている。その中学校では不登校が増加していたが、教員は対応に手が回らず疲弊し、三年で異動を希望する職員が増え、生徒も暴れるようになっていたという。そこで、校長が「一人の生徒を全教職員で育てる」ことを目標にして「職員の美しい心が寄り添う中でA中学校の文化を生み育てる」をスローガンに不登校対策を始めた。

■校長が最初に取り組んだことは、SC,SSWを活用した不登校生徒のアセスメントと「会話と調和により誰もが働きやすく居心地のよい職場づくり」「魅力ある職場の雰囲気は生徒にも支えあいを伝えられる」ということを職員に広めることだった。その後、不登校の可能性がある生徒も含めたリストを共有してモニタリングと専門職による再アセスメント(福祉の事業所とそっくりのやり方だ)・特別支援教室の環境整備・特別支援教室運営に全ての教員が関わり、誰もがすぐサポートに入れる共有方法の構築を行った。こうして「不登校見える化」が行われ、リストで経過や課題、支援方針の確認・「予備軍の把握」(ママ)・定期的点検を可能にした。そして、掲示板に不登校生徒の名前を職員室で一番目立つ場所へ掲示し、個別の日誌に生徒自ら一日の計画と帰宅時間を決めて書かせて支援をする。それは不登校児童生徒支援員(会計年度任用職員)がサポートし、不登校生徒の担当教員が生徒自身に会ったり、教員同士で話しやすくするようにした。

■これにより起こった変化として、・すべての教員が不登校に関わるようになり、子どもを見守る眼が育った。あらゆる場面で教員が生徒の変化をキャッチし、当該学年に伝えられるようになった。・情報共有が日常的になり、学年間の垣根が低くなることで職員室の雰囲気が大きく変わった・校長や専任が声をかけなくても学年を超えたフォローが入るようになった、ことを報告している。そして生徒の変化として・特別支援教室卒業生が「私はA中学校特別支援教室の出身です!」と胸を張って宣言したこと・小学校で完全不登校だった生徒が特別支援教室に登校。卒業式にどうしたら参加できるかを学校全体で考え、2分半の参加の形を整えたところ、本児は卒業証書を壇上で受け取ることができた。という話を成果として挙げている。結局この中学校では、不登校生徒数が4年間で35人→18人と半減し、横浜の特別支援教室活用モデルになったという。1、専門性に基づくチーム体制の構築2、学校のマネジメント機能の強化3、教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備、の三点でチームとしての学校を作り上げたのが、よかったということのようだ。

■この報告は「教職員、心理・福祉等の専門家等の関係者間での情報の共有」を学校が実施し、教育機会確保法で決められた「全児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保」を実践したというレポートであり、ここから全国の関係者が受け取るメッセージは、1、不登校生徒は少なくするべきもの2、教員全体が上手く動けば不登校は減る3、専門家に関わってもらい不登校生徒を見えるようにする、という三点だろう。なるほど、大人の動き方はわかった。で、大人は子供をどう育てようとしているのか、ということになると、不登校特別支援教育の対象というラインが透けて見える。また、学習機会を与えてやれることを増やすことが主軸になっているのであり、休むことを積極的に支持することは無い。ここはとても違和感があるところで、休みをどう充実させるかが最初に彼らが分析した時にわかっている、満たされていない様々なニーズを満たすために必要な時間と空間を保障することにつながると考えることは無いようだ。結局のところ、子供にとっては新しい対応などではなく学校復帰は既定路線化しており、学校としては専門家の関りが有効であろう特別支援教育の対象者に生徒を絞り込むことで不登校の数を減らすということで、成果が上がるということなのではないか。(火曜日)

不登校に関する調査研究協力者会議その1 - 漂流日誌
不登校に関する調査研究協力者会議その2 - 漂流日誌
不登校に関する調査研究協力者会議その3、と - 漂流日誌

ソシャゲ教育

■「コロナ下の不登校、最多19万人 いじめ9万件減、休校が影響」という新聞の見出しに苦笑する。わざとなのか偶然か、見出しだけ見れば、学校はない方がいいと読める。だっていじめが9万件も減るのだ。

■とはいえ、勉強もしなくていいですよということにはならないので「個別最適化された学習」が進むのだろう。山田の紹介する「不登校に関する調査研究協力者会議」や「教育DX」でもICTをつかった学習に言及している。

■「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」はいろいろおもしろくて、たとえば教育支援センター(適応指導教室)は北海道内179自治体に57箇所しかない。そのうちの6つは札幌だ。文科省はセンター設置推進を唱えるが、子供が減り学校の統廃合が進む地域で、さらに少ない不登校の児童生徒のため施設と人員を用意するのは難しい。「教育DX」のオンラインイベントはその点に触れ、「オンライン教育支援センター」の施策に取り組む。

具体的には、インターネット上に資格を持ったコーディネーターを組織し、カタリバにつながった段階で学校や家庭と個別の支援計画を立案。その上で若手のキャストと呼ばれるスタッフが子どもたちに伴走しながら、オンライン上で学習支援を行っているという。今村代表理事は「有資格者や良い支援者がいないという自治体もある。リアルで見つけようとするとフルタイムが前提となり雇えないかもしれないが、オンラインで募集すると、『在宅でできるなら』とたくさんの人から申し込みがある」と、支援人材の確保の面でのメリットも強調した。
教育DXで学びが変わる デジタル庁のキーパーソンが議論 | 教育新聞

遠距離でもかまわない。人材確保しやすく人件費も抑えられる。今後、北海道の教育支援センターはこのような形になっていくのではないか。調査によれば道内の教育支援センターの常勤指導員は4割、札幌に至ってはゼロで、外部に委託してもさほど問題はなさそうに見える。

■なんなら「不登校」という括り自体不要だ。個別の支援計画を不登校にだけ運用する必要はない。学校はクラス内で学力差がありすぎて一斉授業が難しくなっている。それぞれがそれぞれの理解と進度で学べばいい。そのための「個別最適化学習」だと進める人は言うだろう。そんなの規模の大きな赤ペン先生じゃないかと俺は思うけれど、教育が赤ペン先生でなにが悪いと考える人もきっといる。

■そもそもこれって「教育にかける金を抑えたい」って発想でしょ。基本プランは無料。より高度な内容は課金でどうぞ。そんなソシャゲ的な教育になんのかしらね。まあ、いまもそうと言やそうだが、格差是正を謳って実際は強化する流れが強まる。

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査

不登校に関する調査研究協力者会議のことも考えねばならないけど、毎年恒例の調査結果についても触れねばなるまい。
www.mext.go.jp
令和2年度の理由別長期欠席者のうち、不登校を理由とするものは小学校63,350人中学校132,777人合計190,533人との報告で、推移としては2013年以降の上昇トレンドをなぞり、前年度から14,855人(8.2%)増加。なお、コロナ流行前の2018年度2019年度の方が不登校増加率は高い。

■北海道の状況を見てみると、北海道で不登校が小学校2,710人中学校6,248人合計8,958人(合計人数昨年7,630人一昨年6,495人)、札幌は小学校1,075人中学校2,400人合計3,475人(合計人数昨年2,936人一昨年2,635人)と順調に増えている。

■さて、フリースクールをやっていた身としては、この内フリースクールを使っているのは何人くらいか気になるところ。民間団体・民間施設で相談指導を受けた人数は小学校2,873人中学校4,193人合計7,066人(令和元年度合計6,328人)。全体の増加人数1万5千人の内、民間団体・施設の増加分は700人強である。増加数に比して全然少ない。では教育支援センター(適応指導教室)の利用は増えているのかというと、なんとこれは昨年度よりも相談指導した人数が減っているのだ(元年度21,695人→令和2年度21,436人)。最近の不登校増加の理由を、教育機会確保法制定以降に不登校を支援する体制が整ってきたから、というような説明がなされることがあるが、これは当たっていないのではないか。無理やりこじつけるなら、そういう場所があるということが知らされただけで安心して不登校になるのだ、と言うことはできるかもしれないがそれを確かめるならそういう項目のアンケートでも取らない限りはわからないだろう。

■それならば、相談指導が増えた項目は何か。まず学校外では病院、診療所が21,899人→27,367人と5,468人の増加。学校内ではスクールカウンセラー、相談員等による相談を受けた人数が67,142人→72,325人と5,183人の増加。要はケア的性質を持ったところの利用が増えている。民間団体・施設もそうした性質があるから微増なのかもしれない。そして、不登校は学校においてケアが必要な何らかのダメージを負うことで起こると言えるのではないだろうか。

不登校に関する調査研究協力者会議その3、と

■今回も調査研究協力者会議が議論のベースにするのは、教育機会確保法に基づいて昨年行われた「不登校児童生徒の実態調査」の結果ということのようだ。資料2に結果の概要があるので見てみよう。

■まずこの調査の対象は、小学校6年生と中学校2年生で不登校かつ学校に登校(別室登校ということだろう)又は教育支援センターに通所の実績がある当事者と保護者ということになっている。この対象者に学校から調査票を配り回収は業者に送付とのこと。そして回収率は小6児童と保護者でそれぞれ12%程度、中2生徒と保護者は8%超という驚きの数字だ。まずここから読み取れる実態は「不登校について聞いてくれるな」という思いではないだろうか。別室登校や支援センターを利用しているという、学校との親和性がある程度高いと考えられる層ですらこれなのだ。

■その少ない回答の中で「特定のきっかけに偏らず、そのきっかけは多岐にわたる」と言われても、本当にそうなのか疑問が残る。また、「不登校児童生徒が抱える様々な不安が明らかになった」というのは、何か言っているようで何も言っていないに等しい。保護者抱える不安や困難が明らかになった、というところもこの調査をするよりも親の会で語り合われているような中身に過ぎない。相談しやすい方法で「直接会って話す」「メールやSNS」とあるのも、そりゃ相談するなら言葉を使うしか無いのだからそうなるに決まっているし、ましてや何らかの方法で学校教育とのコンタクトが取れている人なのだから、普段少しでもやっていることを回答するだろう。

■結局、教育機会確保法で決められたから行ったとしか考えられないこの調査の設問で導こうとしているのは、「相談窓口の周知やアウトリーチ型支援が必要」という方向性と「不登校の初期段階からの早期支援の重要性」という問題行動として対応していたときと何ら変わりのない現場の状況追認であろう。

■と、協力者会議のことを日誌に書いてオッケーだと思っていたら、令和2年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」が発表されたではないか。不登校の人数にはコロナウイルス感染回避した数は入れずに、小中学校で19万6千人を超えた。とうとう、在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は2%になった。

不登校百万人化計画を進める身としては喜ばしい限りであるが、どんなに「問題行動ではないと前に決めた」と言ったところで「憂慮する事態」などと分析されているのだから、文科省ひいては現場では問題行動扱いなのだ。山田は不登校は増えて然るべきと考えているがそれで辛い毎日を過ごすことは無いような仕組みを作ることと一体である。こうなると、やはり平成28年の通知を廃止して言質を取れなくなっているのは痛い。