漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

「多様な学び」至上主義

■夏休みのラジオ体操最終日。毎日参加したぞ。といっても10日だけどね。このまま明日からもラジオ体操続けようかなって確か去年も思った。そしてやらなかった。

■7月14日の日誌の続報。「文科省が信用できるNPO法人を認定することも検討したいと本当に思っている」と語った永岡文科相だが、7月28日の会見でこのように述べたそうだ。

永岡桂子文科相は7月28日の閣議後会見で、「保護者が有益な情報を得られるよう、学校外施設について分かりやすい情報提供を行うよう教育委員会に周知していく」と述べた。保護者側に伝えるべき情報を一覧化し、近く事務連絡として全国の教育委員会などに文書で伝える。
不登校支援「分かりやすい情報提供を」 永岡文科相 | 教育新聞

保護者に伝える「べき」学校外施設の情報を文科省が定め周知する。どんな内容になるか。そもそも文科省フリースクールの実態を押さえていないと思うが、まあ、つながりのあるいくつかの団体を参考にするのだろう。で、各自治体もフリースクールの実体を把握しているわけじゃないので、文科より降りてきた一覧を元にアンケートでも取るんだろう。保護者を口実にした、フリースクールのスクリーニングだ。

■そのように選別されたものを「多様な学び」と呼べるのか。もう何度も書いたが、ただの学校の拡大に過ぎない。千葉工業大の福嶋尚子氏は、教育機会確保法は「学校や国、地方公共団体に対し、一貫して不登校の子の『学習活動』の把握と支援を要請する」ものだと述べ、「『多様な学び』至上主義」と厳しく批判する。

今、生きるか死ぬかの境にいる子たちに寄り添い、悩み苦しむ保護者とつながり、子どもたちの声を聴き、学校を、家庭を、社会をより生きやすい場所にする―—そうした切実な思いをもつ人が、信念を貫くこともできない。義務教育機会確保法体制とも呼ぶべき「多様な学び」至上主義が、一人一人の子どもに「多様な学び」を強い、保護者の不安を煽り、心ある支援者の足場を揺るがしている。

福嶋尚子「不登校『支援』と『ビジネス』のはざま」/「生活教育」2023年8・9月号

「多様な学び」と唱えれば多様になるわけじゃない。フリースクールがフリーじゃないのと一緒だ。そのあたりを目隠しして突っ走った結果が「多様」を謳っての画一化だ。

■まあ、どうせ漂流教室は「有益な情報」には含まれない。フリースクールを含む学校制度から漏れた人とかかわることになるんだろう。そういう意味ではいままでと変わらないが、線引きされてしまうのは本当は望まない。どんなものが出てくるか、文科省からの事務連絡を待とう。

twitterアプリが知らないうちに更新されて、見慣れた鳥アイコンから「X」ロゴになってしまった。またこれがやっつけ仕事っぽいんだ。見るたび腹が立つので現在ストライキ中。書かないぞー。