漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

多様な学び実践研究フォーラムその2

一条校以外の教育機関も「学校」と認められ、いろいろな教育手法や学び方を選べるのは、大筋では賛成だ。古山さんの本によれば、学校設立の自由がある国でもそれら「一風変わった学校」へ通うのは全体の一割程度で、噂されるような「公教育の崩壊」はおそらく起こらない。もちろん「選ぶ」ためには地域や経済事情などさまざまな条件があって、「多様な教育」の保障を目指すなら、教育費無償や年齢主義、就職に至るまで、教育の分野以外でも障壁となる構造を変えていかねばならない。そのあたりのことは、フォーラムでも研究者より指摘されていた。

変えよう! 日本の学校システム 教育に競争はいらない

変えよう! 日本の学校システム 教育に競争はいらない

■自戒も含め、フリースクールオルタナティブ・スクールは実践の振り返りが弱い。「多様性」や「独自性」という言葉の下、批判や検討を控えてきた。なので、相互認証の方式を取り入れ、互いの取り組みを評価する提案がなされたのは意味がある。フォーラムの内容も、いまはまだ発表会程度だが、回数を重ねれば切磋琢磨するものになるかもしれない。ゆくゆくは学会をつくりたいという言葉も力強い。

■フォーラムには定員を大幅に上回る300名以上の参加者があったらしい。初日の数字なので、二日間の延べ人数は600人を超えるのじゃないか。アドラー心理学やワールドカフェが俺の好みじゃなかったというだけで、企画自体は大成功と言っていい。現在の教育の枠にとどまらない「多様な教育」への期待がうかがえる。

■気になる点がひとつ。外国人学校や夜間中学校の名前が今回はなかった。どちらも教育機会確保法の対象のはずが、どうしたのか。フリースクールみなもの活動報告で、不登校の子供たちが通うフリースクールを「福祉部門」、高認サポートや塾を「教育部門」と分けて説明していた。言葉が妥当かはわからないが、言いたいことはわかる。フォーラムも教育部門の研鑽に偏って、不登校外国人学校、夜間中学が置き去りになっているのではないか。

■これらを含まねばならないということではない。2月5日に書いたものと同じ、足場をきちんと整理しましょうという話。