漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

2000人

■これから多様な学び実践研究フォーラムへ出るため大阪へ行きます。フォーラム自体は明日からで、今日は大阪のフリースクールをいくつか見て、後は飲む。

■昨日は、吹雪のなかを札幌市不登校対策連絡協議会に参加してきた。札幌市教育委員会の主催で、小中の校長会やらPTA協議会やら、児童相談所精神保健福祉センタースクールカウンセラーにスクールソーシャルワーカーなど子供にかかわる12団体があつまる。

■2015年度の札幌市の不登校児童生徒数ははじめて2000人を突破。特に小学生の増加が目立ち、前年度比で25%増。この「憂慮すべき事態」に札幌市は早期対応、特に未然防止に力を入れるそうで、「不登校になる前の不登校対応」と難しいことを言っていた。理論上、それは学校環境の向上になるはずなので、ぜひ進めてもらいたい。

■各団体からは、特に家庭が弱っているという報告が多くあった。経済困窮や保護者の疾患、DVや虐待もあり、もはや学校教育でどうにかできる課題ではない。

■人の成長には、自己の確立と社会との折り合いとふたつがある。落ち着かない環境は、ときに自己の確立を妨げるだろう。学校は社会からの要請を教える方へ傾斜している。アイデンティティが不確かなのに、要請ばかり受け取るのは負担が大きい。学校での序列をアイデンティティにしてしまえば、今度は失敗が怖い。一気に自己があやふやになるからだ。フリースクールの利点は、自己の確立と社会の要請のバランスがとりやすいところではないか。人数が少なく、評価、序列をつけない。対話を重視するといった特徴は多くのフリースクールに共通する。

■別に不登校に限った話ではない。学校はもっとゆったりした環境で、子供がアイデンティティを確立するまでの猶予を保障すればいいし、家庭環境が不安定なら別に手を差し伸べればいい。フリースクールは学校の外にあって、どんな子供でも利用できるもうひとつの場所であればいい。そして、いまは不安定な要素を抱えた人ほど早く社会へ出る仕組みになっている。社会への移行をどうするか。おそらくここでもフリースクールは役に立てる。