漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

不登校等に関する実践の交流検討会

■第二回は10月6日(金)に同じく札幌自由が丘にて開催された。高校教師二名・スクールカウンセラー・相談室の相談員、自由が丘の職員、在宅学習支援「と・ざ・ん」の渡辺さんという面子だった。今回はレジュメとして、高校の相談員から不登校になる生徒には二つのパターンがあるという話と、と・ざ・んの渡辺さんから訪問先の事例一覧の二本が提出されていた。

■最初のレジュメでは、高校に入って不登校になる子は最初から学習意欲が無くなんのために通っているか分からない場合と学習意欲はあるが悩みを抱えている子に分けられるという大胆な二分法があった。ここまで大きく分けられると、必ず当てはまるというものだ。と・ざ・んのレジュメでは、10件ほどのこれまでに訪問した高校生の事例が二、三行の簡単なあらましで紹介されていた。二分法に特に意味の無いことなど、そのあらましを見ただけでわかってしまうものだった。

■検討会は、レジュメには沿わず自由に意見を出しあっていくことになった。その中で話題の中心となったのは「精神的な疾患や発達障害など、医療との関わりが深い子供らが多くなっている」ということと「人間関係、とりわけ家族内の関係が重要だ」という話だった。

■前者については、ここ数年特に研究集会やシンポジウムなどで教師の口からよく聞く言葉である。そして、そうした子供にどのように接していいのかわからない/難しいと続くことが多く、それは今回も同じだった。自分のフィールドである学校教育からはみ出る対応が必要となるわけだから、がんばれと応援しておこう。ただ、自分はここまでができるがその先はほかの人に任せるという割り切りとスクールカウンセラー医療機関などとの連携が取れると少し幸せになれるかも、と思う。

■後者については、うちやと・ざ・んが訪問している中にも何人かいる、高校に行っていない子どもの中に、家族間の人間関係が絡んでいるケースがあるという話になった。人との信頼関係を作り上げることが苦手な子の中に、元来家族の中で味わうような安心感・信頼感を経験していないように思える子もいるので、それをどこで補うのかという話しになった。こうなるとよく出てくるのが、「居場所の役割」の話だ。どんな場所を作ったとしても安心感・信頼感の経験がないのでは、その子にとってはもの足りないものになるだろう。やはり、形態として家庭が一番その安心感・信頼感を持ちやすい条件があると思う。

■さらに「家族間の人間関係」という話の中で出てきたのは「父の役割」についてだ。不登校になる生徒の家庭と教師がつき合う時、父親の姿が見えないことが多い、という話はこれまでにも何度も聞いてきた。しかし、実際家庭の中で父親がどのような役割を果たしているかについて、教師に見えないから存在がないと判断するのは余りにも軽率だろう。「父の役割」というものだって、各家庭において違うはずだ。自分に見えず語り得ないものについては沈黙しておかなければ、考察は誤った方向に進んでしまうだろう。

※漂流通信に掲載したものに加筆※19日、一部誤読の可能性がある部分を訂正