<塾に通えぬ小中学生に"公立塾">
経済的理由などで塾に通えない子どもを支援するため、文部科学省は来年度から、退職した教員OBによる学習指導を全国でスタートさせる方針を固めた。
通塾する子どもとの学力格差を解消するのが狙いで、放課後や土・日曜に国語や算数・数学などの補習授業を行う。
来年以降、団塊世代の教員が相次ぎ定年を迎えることから、文科省では「経験豊富なベテラン教師たちに今一度、力を発揮してもらいたい」と話している。
教員OBによる学習指導は、希望する小・中学生を対象に、放課後や土・日のほか、夏休みなどの長期休暇を利用し、小・中学校の教室や公民館、児童館などで行う。受講は無料とし、テキスト代などは参加者に負担してもらう方向で検討する。
教員OBの確保は、講師希望者を事前登録する「人材バンク」のような制度の整備を目指しており、計画が固まり次第、各都道府県教委などに協力を呼びかける。講師への謝礼などについては、今後さらに協議する予定だ。
文科省は、長崎市で2003年7月に起きた少年による男児誘拐殺人事件などを受け、地域住民と子どもたちが一緒に遊びやスポーツを楽しむ「地域子ども教室」を推進している。教員OBによる学習指導は、この事業を拡大する予定で、各都道府県を通じ、市区町村に運営費用を支援する。
(4月16日 読売新聞)
■ちょっと待ってくれ。いつから塾は全入制になったんだ。塾に通わずとも済む教育が文科省の役目で、塾がなければ学力が保障できないというのでは本末転倒だ。こんなことじゃ、いまに火事が氷って、石が豆腐になるかもしれない。
■塾へ通う子と通わない子で学力差があり、塾へ通えないのは経済格差があるからということだが、これが事実だとしよう。公立塾が普及すれば、大手私塾はよりハイレベルな指導を導入するだろう。その分料金は上がる。何のことはない、経済格差と学力差の関係はそのままだ。学校から塾へ場が移動するだけだ。
■ベテラン教師の力を発揮、ともあるが、その技術は、本来、教師から教師へ受け継がれる種類のものだ。財政難を理由に新任教師を採らず、技術の引き継ぎをさせなかったのは誰なのか。教員OBを使うなら、現職教員の指導に使え。
■学力の低い子供は文科省から見れば対策すべき「余り」で、大量に出る退職教員もまた「余り」。余りと余りをくっつければきれいに収まるとか、この方針の出どころはその程度の考えではないか。もっともらしく「学力」を理由にはしているが。
■もう少し意地悪く見れば、子供が自由にフラフラしてるのが気に入らないのだ。だから、なんのかのと理由をつけて何かさせようとする。公立塾導入とは、通うべき学校がふたつになるということだ。第二の義務教育と言ってもいい。そうやって子供を拘束しておけば、問題は起こさないだろう。まったくバカげている。子供は遊ばせろ。属さないこと自体が子供の特性なのに。
■この塾が学校と切り離されて運営されるなら、学校へ行ってない子の中には、利用したい子もいるかもしれない。ならば少しは意味もあるが、そうもいかないだろう。学校も塾も行かないと倍責められることになるのか。話はそれるが、公立塾の講師に謝礼をする用意があるなら、フリースクールへも同じようにできないか。学校が対処できない部分を補完している、という点では公立塾よりよほどはっきりしている。