漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

他人事ではないはずが

森前首相放送法の専門家は検討を」(TBS NWESi 2/17)


ライブドアVSフジテレビ、両社の攻防ついて、政界や経済界から次のような声が出ています。
「金さえあれば何でもいいんだ、力ずくでやれるんだという考え方は今の日本の教育の成果なのかなという感じを私はやっぱり持つんですね。しかも普通の企業じゃない、電波でしょ。日本テレビであれ、TBSであれ、フジテレビであれ、電波は国民のものです。そういう会社があっという間に売り買いの対象になってしまうということに、そういう意味で放送法や電波法の専門家は少し検討してもらわないと」(後略)

■「金さえあれば何でもいいんだ、力ずくでやれるんだという考え方は今の日本の教育の成果なのかなという感じを私はやっぱり持つんですね」とのことですが、森前首相の経歴を見ると、昭和58年から59年にかけて第二次中曽根内閣で文部大臣を務めています。このとき堀江氏11〜12歳。今の教育よりはお前のせいじゃないのか、と突っ込みそうになりますが、この発言にはちょっとした罠が。「今の教育」とは一体何を指すのか。「現行の教育課程」ということならば、現在32歳の堀江氏に無関係なことは明らかですが、森前首相がかつて教育基本法改正に教育勅語を持ち出したことを考えれば、「今の教育」=「戦後教育」なのかもしれない。もしくは「学校教育」に留まらず、広く「家庭教育」や「世の中の趨勢」について述べたのかもしれません。

■だが、それでもこの発言はおかしい。戦後、教育は一貫して文部省(現文部科学省)の指揮の下行われたはずです。また、世の中の動きと政治とは決して無関係ではありません。結局は自分たちの撒いた種で(『責任政党』という言葉はそのためにある)、自らを省みて言うならともかく、長く与党第一党である党の政治家が言っていい言葉ではありません。思っても口にしてはいけないことというのはあって、現在の文科相もそうですが、その点非常にあまい。それは結局自分とは無関係だと思っているからで、教育を語るときに、例えば森前首相の発言に透けて見える、そういう他人事な態度が俺はとても気になります。というか、気に入りません。


本日の脳内BGM:バラッドをお前に(THE MODS