漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ロボ登校

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市教委総合支援課によると、熊本市不登校の小中学生は2022年度、2760人。吉里麻紀課長は「先端技術を活用して、不登校のほか病気やけがで長期欠席する子どもを支援する一助にしたい。少しでも意欲が湧き、学校に行くハードルが下がってくれれば」と期待を込めた。

■入院療養中の子が分身ロボをつかって授業を受けたり行事に参加したりする例はある。長期欠席という点ではおなじと考えれば不登校に導入しても不思議はない。熊本市不登校の子向けに「フレンドリーオンライン」というオンライン授業もおこなっている。配信による授業のほか、すららをつかった自習時間もある。
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■いろんな形で授業を受けられるのはいいことなんだろう、多分。でも、こうなると、なんで登校しなきゃならないんだろうと根本の疑問もわく。生徒全員が学校に置き勉ならぬ置きロボをして、起動させたら出席でもいいじゃない。じっくり進めたい、あるいは自習メインでやりたい人は配信で学ぶ。不登校の子を学校に近づけようと用意した策が、結果的に登校しなくていい環境をつくる。おもしろいなと思う。不登校に限定しようとするから無理が出るのだ。

■とはいえ、じゃあ全員がつかえるようにしましょうと言えるかはわからない。子供をひとりで家に置いておけない家庭もある。虐待に気づきづらくなる恐れもある。昼ごはんはどうする? なにより、あつまっておなじ内容を学ぶ意義はないのだろうか。

■まあ、どちらか一方にはならない。一斉授業と個別授業のハイブリッドになって、その案配を試行錯誤しながら決めるんだろう。子供の「多様化」なんてあいまいな話ではなく、もっぱら技術の進歩により教育環境は変わる。腰を据えなきゃいけないのは大人の方で、将来の自分の仲間になにを学んできてほしいか。そいつを考えておかなくちゃならない。前に書いたものの繰り返し。
hyouryu.hatenablog.jp
■あとは「教える/教わる」をもう一度見直す必要があると思っている。いま「学ぶ」ばっかりなのが気になって。でも「教わる」は必ず出てくるからね。