漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

どこか変

■土曜は「その『支援』、あるいは、その『イベント』本当に必要ですか?」なる配信を聴くはずがスマホの調子が悪く、5秒聴いては止まるといった具合で無理だった。アーカイブ配信があるそうなので後日あらためて聴こう。

■さて、金曜の日誌で触れた文科省の通知だが、あのような文書が出る理由はわからないでもない。

  1. 不登校児童生徒への支援目標は登校のみではなく社会的自立にある
  2. 不登校でいると社会的自立に不利益がある

だから学校に来させましょうって話をしているのに、取り上げられるのは「1」の、しかも「登校が目標ではない」ばかりだったら、そりゃ釘も刺したくなるだろう。

■おなじことは2016年9月にもあった。不登校は「問題行動」ではないと文科省が通知を出した。大きな変化だと話題になったが、でも、そこにもやっぱり「学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在する」と断り書きはあった。だから学校を中心に子供を支援しよう、要は学校へ来させようと、文科省はずっとおなじことを言っている。
hyouryu.hatenablog.jp

■将来のためにも子供は学校で学ぶのがよい。そのために誰もが安心して学べる、魅力ある学校づくりに取り組めと文科省はいう。それ自体はいい。学校がそのような場所になるのを止める人はいないだろう。一方で、文科省のこの要求はどこか変だ。

■これが成り立つには、「いまの学校は安心して学べず、魅力に乏しい場所だから子供が来ないのだ」が前提になる。ところが、おなじ文科省の調査によれば不登校の要因第一位は断トツで子供の「無気力、不安」だ。学校にかかわる要因はすべてあわせても2割なのに対し、「無気力、不安」だけで5割。「生活リズムの乱れ、あそび、非行」も加えて、不登校要因の6割以上は本人に由来すると文科省は理解している。

不登校は学校のせいだなんて思っていないのに、学校の魅力を高めると言う。結果、学校を変えたつもりで子供を管理する。カウンセラー、ソーシャルワーカーを配置して悩みを把握し、ひとり一台端末で心身の調子、学習状況、授業中の集中度合いまでデータを取る。集中する子が増えたら「無気力」を減らせたことになるのかしら。

■書いてるうちにこんがらかってきた。えー。学校が魅力的になるのは結構なことだ。おもしろく、わかりやすい授業になればつまずく子供は減るだろう。一斉授業だけじゃなく、違う形での学習が合う子もいる。変革自体は全然かまわないんだけど、なんだろう、常にどこかズレている感じがする。結局、子供が悪いんだ(あるいは家庭がおかしいんだ)と思ってんじゃないのかしら。それをうまく言い換えてくれたのが「多様化」って言葉で。(11/27夜)