漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

口中の砂利

■ロシア軍の侵攻を目の前にウクライナ大統領が国民に外出自粛を求めていたころ、俺は子供のコロナ感染疑いで自宅待機を余儀なくされていた。ウクライナ国民の心境を想像し、たかが数日家にいるのを不満がる自分を反省したのだが、あらためて思う。それは間違いだ。

■惨事を前に人はおのれの無事を恥じることがある。食事をし、娯楽を楽しみ、友人と談笑し、布団で眠れることに罪悪感を覚える。些細なことにこだわり、憤る自分をつまらない者に感じる。だが、個々の生活を、喜びを楽しみを、悩みをつらさをほかと比べる必要はない。

■災害や戦争が起きると、それを口実に忍耐を説く者が現れる。良心につけ込んで娯楽を戒め不満を抑え込む。まわりもなんとなくそれが正しい気がしてしまう。でも、それぞれがそれぞれの人生を謳歌してこそ平和でしょう。被災者はそこへ戻るのを目指すんでしょう。喜びも不満も抑えなくていい。

■それでも、砂利を噛むような気持ちはどこかに残る。こればっかりは仕方ない。吐き出さず飲み込まず、じゃりじゃりと生きている。