■子供のゲーム時間を規制する条例を香川県が検討している。「ゲーム依存」対策をうたい、18歳未満は一日のゲーム時間を平日で60分(休日は90分)に制限。中学生以下は21時、高校生は22時までにやめさせるよう保護者に求める。罰則規定はなく、4月の施行を目指している。
■これを受けてか、今度は大阪の松井市長が子供のゲーム利用を条例で制限してはどうかと市教委に注文を出した。
jp.ign.com
■2006年11月、当時の文部科学大臣、伊吹文明は教育基本法における「不当な支配」について、「国会で決められた法律と違うことを、特定のグループ、団体が行う」ものを指すと説明。一方、法律や政令、大臣告示などは「国民の意思として決められた」ため「不当な支配」にはあたらないと強調した。
■教育基本法改正もこの年。「不当な支配」について、もともとは「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもの」とされていたのが、新教育基本法では「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」へとあらためられた。
■また、あらたに「家庭教育」の条文が追加された。「子の教育について第一義的責任を有する」のは保護者であり、「生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする」と努力義務を課した。
■さて、これらのことを踏まえ、もう一度香川県や大阪市の動きを見てみよう。
- 教育は法律に従っておこなわれる
- 教育には家庭教育も含まれる
- 保護者には子供の心身の調和のとれた発達を図る務めがある
- ゲーム依存は子供の心身の発達に影響がある
- 子供のゲーム利用を条例(法律)で制限する
- 法律に従わないことは教育への「不当な支配」にあたる
罰則規定がなくったって保護者が追い詰められるのは必至だ(ちなみに努力義務は対応を怠ったり、正反対の行動をとった場合、行政から指導が入ることもある)。教育機会確保法によって「休養の必要性」が認められたというが、あの法律での「休養の必要性」はあくまで「当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう」、不登校児童生徒と保護者に「必要な情報の提供、助言その他の支援を行う」ためのものだ。むしろ介入を後押しする。実際、大阪市でゲーム規制が提案されたのは「不登校を減らすため」だ。
■ご丁寧に、教育基本法は学校と家庭、地域住民の連携協力まで定めている。NPOももちろん地域住民で「教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努める」ことを求められる。それにゲームの使用制限に反対する居場所事業があったとして、法律と違うことを特定のグループ、団体がおこなえば教育への不当な支配なんだぜ。
■まったく、やれやれだ。それではここで一曲お聞きください。頭脳警察、1972年のナンバーで「ふざけるんじゃねえよ」です。
ボーっとしてると、こうやってどんどん縄がかけられていく。気づいたときにはもう身動きできやしない。クソッタレ、馬鹿野郎、満足だろう。悪態もどこか遠吠えの感がある。