■子供が学校へ行かなくなった。朝起きないし、ごはんのときも降りてこない。風呂に入るのも億劫がり、床屋にも行かない。どうしたらいいだろか。こういう話が出たときは、最近こう答えることにしている。
「お子さんはいま、39℃の熱があるんだと思ってください」
■そんな高熱じゃ出かけるどころじゃない。身体がだるくてごはんを食べるのも一苦労。風呂に入らなくても死ぬわけじゃない。それより寝ていたい。呼びかけて返事がないのは熱があるからです。
■39℃の熱がある人を残して出かけるときはどうするか。どこへ行って何時に戻るか。なにかあったときの連絡先。食べれたら食べなさい、と簡単な食事を用意して静かに出かけるのじゃないか。間違っても「起きたら学校行きなさいよ」とは言わないだろう。
■この喩えは、実際にそれだけ具合が悪いと理解するのじゃなく(それも間違いじゃないんだけど、いつまで39℃なの、とそのうちイライラしてくるので)、調子を落としている人とのつきあい方を自分はすでに知っていると理解してほしい。子供が学校へ行かなくなって、どう接していいかわからないという話はよく聞く。いや大丈夫。わかってます。相手は39℃の熱があるんです。
■ちなみに俺は、子供らと会うのに、野良猫に近づくような心持ちで臨んでいる。声をかけても警戒して近づいてこない。うかつに動くと逃げてしまう。視界の端に入れつつ、気にしてないそぶりで過ごす。危険がないとわければ、次第に距離は縮まってきます。といって、野良猫ですから心を許した状態にはなりません。同じ空間でそれぞれにいる。そんな感じ。
■新しいことに思えても、すでに対処法はストックされていたということはある。外から学ぶのも悪くないけど、自分の中から拾ってくることもできるのです。