漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

相談電話から

漂流教室にかかってくる不登校の相談電話を取り続けて二十年近くになるが、ここ二、三年子供が学校に行かなくなってから漂流教室に連絡が来るまでの期間が短いなと感じる。

漂流教室を始めた時のコンセプトは、学校に行かなくなってから周囲が様々な対応を試しても状況が変わらず、周囲は打つ手無しとなり本人もどん底にいる感覚でしばらく過ごしてから、マンネリな日々が続く中で少し回復して外部と繋がろうとした時に選ばれるようなもの、だ。それが最近の相談では、学校に行かなくなって一ヶ月、時には一週間ということもある。

■思うにこれは、「不登校になった時には無理に学校に行かせないように」という対応の仕方が建前として一般化したからではないか。学校には行かせないということで、カリキュラムがあるようなフリースクールも最初の選択肢としては避ける。しかし、学校に行かせないようにというのはしっかり休養を取り癒しを得るのが本義であるが、それが字義でしか理解されず、周囲の抱く対人関係や学習への不安を解消できる方法として漂流教室のやっているような訪問支援が選択される、と考えてみている。実際、漂流教室の前に他のフリースクールに相談するというよりは、漂流教室にまず電話してみたという電話も多い印象だ。

■また、学校に行かなくなった時に本人の思いや様子を見てどうするかを考える余裕が無くなったとも言える。これは延々と学校がやってきた不登校対応の姿勢「早期発見・早期対応・未然防止」が家庭レベルにまで降りてきたのかもしれない。相談電話の分析は、もっとやってもいいかもなあ。