漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

失敗酵母

■訪問二件。勉強をした方がいいとは思うが何をどれくらいどうやればいいのだろうか、という悩みについて、自分のことを振り返りつつ話し合う。

■ぼくは小中高大そして就職という道を若干紆余曲折ありながら歩んできた。そうやって人生を過ごしたきっかけは、中学生くらいの頃だ。将来を考えた時に、自分は本を読むのが大好きだからそれが金になる仕事をすればよい、それには大学の教授になり本を読んでテケトーに論文でも書いていれば暮らしていけるじゃないか、と思ったのがその後の進路を決めることになったのだ。幸い、勉強して物を覚えることについては、どんなに将来必要なさそうな知識であっても面白くできたし、テストも受けるのが楽しかったので苦にならずに済んだ。つまり、今の日本社会であらかじめ設定されている子供から大人になる進路と自分のやろうと思っていたこと・性格・好みなどが、ぼくは偶然にもぴったり合っていた。しかし、世の中としては、その道以外が極端に狭い。うまく合わない人にとっては、その進路に乗って過ごすのは苦行にすらなり得るものだろう。

■例えば、絵を使って飯を食っていきたいのにまだまだそのレベルにまで達していない人を考えてみよう。絵の訓練をすることに大きな時間を払うべきとわかっていても、それは学校でやる勉強をこなしながらでなければならないと周囲から言われることは多々あるだろう。しかも、それで飯を食っていくことが出来ない場合の次善の策を考えると、やはり学歴がなければバイトにすらつけないような世の中にもなっているわけだ。さらに勉強は子供時代を過ぎると途端に支援の手が少なくなり、そこでできなければ努力が足りなかったと自らを責める/責められるしかない。子供時代に人生を見た時に色々な道を想像することができず、一つの道での成功か失敗しかないような世の中で幸せになる人はそんなにいないのではないか。

■などということを考えてから、産まれたばかりの姪に会いに行く。生後間もない子がいびきをかきながら寝ている姿は本当にかわいい。

■夜、漂着教室にて、スタッフの研修。帰宅後、天然酵母の瓶を見るとカビが!ああ、失敗したか…。