漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

子どもの権利条例 札幌市、提案見送り

札幌市は今年度中の制定を目指す「子どもの権利条例」について、当初予定していた28日開会の定例市議会への提案を見送る方針を固めた。最大会派の自民党などが反対に回り、否決が確実な情勢だからだ。子どもの「権利」とは何なのか――。1年半続く議論に、結論は出ていない。
(中略)
上田市政で与党の民主党などは条例に賛成の立場だが、野党の自民党は反対姿勢を崩さない。公明党も「子どもの権利は大切だ」としながらも、「議論が足りない」と難色を示す。
 自民党が反対する最大の理由は、「権利よりもまず義務を教えるべきだ」という点だ。学校で教師が子どもを指導しても、「自分らしく生きる権利がある」と反論されるのではないか、などという懸念がある。同党議員会政審会長の笹出昭夫市議は「権利を主張し、わがままを通す子どもにどう対応するのか」と指摘する。
 札幌市の条例の元になった国連の「子どもの権利条約」についても、笹出市議は「後進国の子どもたちの保護を目的としたもの。日本の現状にはそぐわない」という。
 これに対して市側は、「権利を与えないのではなく、行使する時に守るルールを教えることが大事」と反論。国連の権利条約についても「いじめや虐待など、子どもの人権侵害は依然としてある」と説明する。

■これについては7/15の日誌も参照して欲しい。国際連合国際連盟の違いもわからない市議はどうやら政審会長らしい。ちなみにこの人が語っていることが如何に的外れかは、04年に国連子供の権利委員会から出された「国連・子どもの権利委員会の総括所見」において、日本が「以下の措置をとるよう勧告する」と受けている項目を読めばわかる。

■7/15に書いたことの繰り返しになるけれど、何度でも言っておきたい。権利と義務は別個のものだ。権利は自由が侵害されたと思うときに必要なものだ。「自分らしく生きる権利がある」という言葉を出せる状況を保障することは必要だ。その表明を受けて「では何が問題か」を話しあうことが始まるのだ。