漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

文部科学省:児童生徒に規律厳守 米国方式の導入検討

 文部科学省は、児童生徒に校内の規律を厳格に守らせる米国教育界の「ゼロトレランス(毅然(きぜん)とした対応)方式」の導入について検討を始めた。学校が規律と懲戒規定を事前に明示し、違反者は例外なく処分する指導法で、米国では荒廃した学校の再生に効果があったとされる。文科省は問題行動の抑止効果を強調するが、識者からは「教育の自殺」という強い批判も出ており、議論を呼びそうだ。【井上英介】

 「トレランス」は英語で「寛容さ」を意味し、ゼロトレランスは文字通り「寛容さゼロ」。米国では、服装の乱れからドラッグや暴力、銃器の持ち込みまで問題行動の軽重に応じた懲戒規定を設けている学校が多い。規定適用には一切例外を認めず、重大な問題を起こした子にはオルタナティブスクール(問題児を集める教育施設)への転校や退学処分を科す。

 文科省は、昨年6月に起きた長崎県佐世保市の小6児童殺害事件を受けて「児童生徒問題行動プロジェクトチーム」を省内に設け、昨秋、再発防止策をまとめた。だが、今年に入って山口県立光高校で男子生徒が爆発物を教室に投げ込み、生徒多数を負傷させるなど重大事件が相次ぎ、プロジェクトチームを再開。来春までにまとめる新たな防止策に「ゼロトレランス方式の調査研究」を盛り込む。

 文科省児童生徒課の坪田真明課長は「問題行動への対応は現状では教師や学校によりまちまちだが、この方式で一元化でき、規律と罰の事前明示で子どもの自覚もうながせる。米国の方式を日本にそのまま持ち込むことは難しいが、参考にできる部分はあるだろう」と話している。

 国内では、私立岡山学芸館高校(岡山市)が02年度から導入した。問題行動をレベル1〜5に分類。服装や言葉の乱れなどはレベル1〜2で、担任や主任が指導する。喫煙はレベル3に相当し、生徒指導部長が乗り出す。悪質な暴力行為などのレベル4〜5では教頭や校長が対応。必要なら親を呼び出す。森靖喜校長は「『だめなものはだめ』という価値観を上から下へ伝えるという信念で導入した」と話す。

 このほか鹿児島県牧園町の県立牧園高校(09年廃校予定)も生徒の荒れを理由に02年1月導入したが、今年4月、学校が落ち着いたとして撤廃。広島県議会でも04年9月に導入が論議された。

 ▽ゼロトレランス方式を日本に紹介した加藤十八・中京女子大名誉教授(教育学) 一人、二人が校則を破るだけで学校全体が乱れる。この一人、二人を許さないのが同方式だ。米国では70年代管理教育批判が吹き荒れ、ドラッグや暴力で学校が大混乱に陥った。日本では現在「受容と共感」と称し、文科省が学校カウンセリングの充実を進めている。まるで70年代の米国の模倣だ。学校は総じて教師への暴力や暴言で荒れている。一刻も早く導入すべきだ。

 ▽教育評論家の尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)の話 ゼロトレランス文科省がまともに取り上げること自体が教育の混迷と荒廃、大人の無策を象徴している。導入は教育の自殺に等しい。発達論などの立場から問題行動に走る子の心理を真正面から見つめることが必要だ。精神状況を掘り下げる努力を怠り、いたずらに規律を強めても、非行は絶対に減らない。米国での同方式の効果も疑問だ。
MSNニュース教育より

うはははは。学校はびしびしとやるから、おうちでは愛情をもって育てて学校のやることくらいではキレない子供にしろということらしいです。

All or nothingな態度でしか世の中の出来事を捉えようとしない大人達の姿を見ているから、子供はキレるんだと思うのですがね。

あと、米国での方針がうまくいったかどうかは、コロンバイン高校の惨劇を思い出してみるとよろしいかと。