漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

10年連続増加

■2022年度の不登校児童生徒数が発表になった。

www.mext.go.jp

2022年度の全国の不登校児童生徒数は299,048人。前年度より54,000人増でもちろん過去最多。北海道は12,230人でおよそ2,000人増、札幌は4,836人でおよそ600人増。当然、過去最多。

■調査結果概要では結果をこのように分析している。

児童生徒の休養の必要性を明示した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の趣旨の浸透の側面等による保護者の学校に対する意識の変化も考えられるが、長期化するコロナ禍による生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況が続いたことや、学校生活において様々な制限がある中で交友関係を築くことが難しかったことなど、登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと等も背景として考えられる

確保法で保護者あるいは社会の意識が変化した。コロナの影響を受けた。どちらもよく言われるがグラフを見ればその前から不登校は増えている。増加に拍車をかけた可能性はあるが主要因ではない。

「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」のグラフに加筆した。原因を探るなら減少傾向が一転して増加に転じた2013年度、あるいは一時的に増加した2006年度、2007年度にヒントがありそうだ。ちなみに2002年からの減少は「ゆとり教育」の影響だと考えている。授業時数が減り土曜日が休みになった。学校生活が楽になると不登校は減る。

■裏を返すと、子供への要求を増やせば不登校も増えるといえないか。外国語だアクティブ・ラーニングだプログラミング教育だと詰め込むのは結構だが、応えられない子もその分増える。たくさんふるいにかければ残数が減るのは道理だ。

■選別に落ちた子は「支援」「多様な学び」と称して特例校やら民間団体へ振り分ける。文科省不登校対策「COCOLOプラン」は学校改善に「風土の見える化」を挙げる。学校の風土と欠席日数には関連があるんだそうだ。風土の変化は不登校減少であらわされるのなら、相変わらずの登校圧力をかけるか、あるいはアウトソーシングに出しても「改善」にはなる。

■まあ、増えた増えたと言っても全体の3.2%だ。97%は学校へ通っている。昨年、上富良野町での講演で「どんな仕組みでも××%くらいは合わない人がいる」とお題を出し、何%か考えてもらった。一番多かった答は「10%以上」。それでいくと不登校もあと3~4倍くらいは伸びしろがある。学校のカリキュラムはもっと緩くしてほしいけれど、それとは別に、学校へ行かなくても大人になれる道、学びたいと思ったらいつでも学べる仕組みをととのえる必要はある。