■参加者は15、6人といったところか。講師は教育センター指導主事の和田さん。かつて小学校中学校の教師をされ、その後、相談室勤務に移られたそう。きっと情熱あふれる先生だったに違いない。相談も丁寧に応じていそうだ。話から人柄の良さが伝わってきて、しかし、それ以上のことは何もわからなかった。
■話は不登校、いじめ、軽度発達障害についてで、特に不登校に全体の半分の時間を割いた。「子ども理解の視点」という副題がついており、例えば不登校なら定義から始まって、背景や要因、対応例などが説明される。相談室は相談機関であって対策を講じるところではないからそれはいい。だが、持ち出すデータが全て文科省や国立教育政策研究所のものなのはどうか。札幌市独自のものがひとつもない。これでは「教育相談室から見た子ども理解」ではない。「文科省データに見る子ども理解」だ。看板に偽りあり。
■出前講座について札幌市では「市民の皆さんへの情報提供と対話の一環として、市職員が皆さんのご要望に応じて地域に出向き、市の施策や事業について分かりやすく説明を行う」と説明している。しかし、肝心要の札幌市の様子がまるで見えてこない。人柄以上のことがわからなかった、というのはこういうことだ。実際の相談内容と中央のデータで、中央のデータを子供理解の基盤に据えるなら、別に相談室じゃなくともできる。相談室の話が聞きたかった。
■繰り返すが、きっと相談業務自体は丁寧にやっていると思うのだ。それだけに、中身が見えないことが残念だ。(9/2昼)