漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

不安ビジネス

■「不登校支援」と言ってもいろんな団体があるんだなーと流れてくる広告を見ている。最近は保護者へのサポートというかコーチングの広告が多い。「不登校を最短・最速で解決したかったら子供と会話はするな!」とセンセーショナルにあおる。実際は、子供の状態を見て適切に話しかけましょうねと当たり前のことしか言ってない。

■「親子の魂のつながりを」とスピリチュアル寄りなところもある。こちらも中身を見れば「子供は思っていることをなかなか言語化できないので話しやすい環境を」程度の話だったりする。

■いくつか心配になる団体もある。不登校をほっといてはいけない。デジタル依存に陥る前に子供を救わねばならない。ゲーム、スマホ、PC、テレビを子供から遠けよう。それには家族の協力が必要だ。一家そろって禁止にしてほしい。大丈夫、そう長くはかからない。ひと月もすれば子供は学校へ戻る。その間、我が社がつきっきりでサポートする。毎日連絡し、様子を聞き、次の行動を指示する。子供のため一緒にがんばろう。そう励まして高額のサポートを販売する。

■マインドコントロールには情報と行動を制限するのが効果的だ。上の例も、いかにも親切だが、実際は情報経路を限定され、行動の自由を奪われている。あるいはアップされた大量の動画。さまざまな疑問に答える体裁だが、それを見ているあいだはほかの情報に触れられない。利用者と話ができるとオープンチャットに案内される。大勢の体験談を聞けたようで、実際は運営が認めた内容しか流れない。

■それにしても家族全員に行動制限を課すとは、さすがにおかしいと思わないのか。だが高額な料金が目くらましになる。高い買い物だからこそ熟慮し理性的に決めた。間違いはないと人は考える。むしろ高額だからこそ無茶な要求もされるのだ。それにちょっと変だって”元を取らねば”もったいない。

■夫婦仲が悪いとなお都合がいい。子の不登校に悩み、やっとの思いで見つけたサポートをパートナーは一顧だにしない。騙されてるんだとバカにする。否定されるとかえって効果があるように思える。パートナーはなにもわかっていない。自分ががんばるしかない。お金も自分で払うから黙って従ってくれ。

■無理は利用継続の理由にもなる。反対を押し切って始めたのに、いまさらやめられない。なんとしても成果を出して見返してやろ。かくて、一生懸命で孤立した保護者は、孤立したままさらに一生懸命がんばらされる。

■世間では「不登校ビジネス」と読んだりするが、それより川越不登校親の会のいう「不安ビジネス」の方がしっくりくる(下記リンク先参照のこと)。ちょっと事例をあつめてみようか。みなさんのまわりの「不安ビジネス」募集中。

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