漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

心はどこにある

■遅まきながら第二回「登校に関する調査研究協力者会議」の感想を。大枠は山田が報告済みなので、細かな話をする。

hyouryu.hatenablog.jp

京都市教育委員会の話では不登校児童生徒の増加と新型コロナは関係がないそうだ。なぜなら不登校はこの10年近くずっと増え続けているからだと。なるほど。それはそうかもしれない。ところが、おなじ口がこんなことを言う。不登校の子が増えたのは教育機会確保法により無理して学校へ通わなくてもよいと社会の意識が変化したからだと。確保法制定は2016年だ。そして、その前から不登校は増えている。

■ちなみに鳥取県教委が用意した県内の2018年度~2020年度の月ごとの不登校児童数のグラフによれば、コロナ感染拡大にあわせグラフの角度が急になる。主要因ではないかもしれないが、関連はありそうだ。

■しかし、配布資料を見ていると京都市にしても鳥取県にしても、不登校を「支援」の対象と捉えていることがよくわかる(資料は下のリンク先からどうぞ)。もっとも他人のことは言えなくて、この日誌を見返せば「教育は福祉」という言葉を紹介していたり、個々への支援を訴えたりしていた時期があった。だんだん疑問を感じてのいまなので、えらそうなことを言ったって五十歩百歩だ。

www.mext.go.jp

■それにしたって、こんなに助けなきゃ、どうにかしなくちゃなんてものだろうか。ちょっと学校に行ってないだけなのにさ。これは「問題行動」じゃないという文科省のお墨付きのせいなんじゃないかと疑っている。「問題行動ではないが、さりとてこのままにもしておけない」→「子供に課題があることにしよう」→「支援だ」という流れ。

京都市教育委員会は「心の居場所ハンドブック」なるものを作成、京都市立学校の全教職員に配布している。ところで、発表者はオンラインゲームには少々批判的なようだった。しかし、それが「心の居場所」になっている可能性だってある。「心の居場所」と言いながら、問うているのは体がどこにあるか、つまり身柄確認なんじゃないかしら。心はどこにある。