漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

土台

■漂着教室に来た子が持っていたんだそうな。手に装着して指を動かすと、水圧でメカの指も動く。かっこいい。俺も実物を見たかった。

■最近、土台ということを考える。不登校で孤立する家庭がある。そんなバカげた事態はなくしたい。必要な情報があるなら届けたい。親の会の存在を教え、気になるならフリースクールについて話してもいい。

■とはいえ、地方によって資源に差がある。また、利用できるかは家庭の状況次第だ。希望すればどんな子もつかえる安価な(できれば無料の)、場所と時間を問わない学習プログラムや相談機会はやっぱりほしいよなと思う。

■だが、そういった仕組みをつくるなら、一方で「学校に行かなくたってたいしたことはない。大人になるルートはほかにいくらでもある」と請け負えることが肝要だ。人々の考えも、世の中のあり方も。その土台がないと、制度はとたんに人を追い詰める。

hyouryu.hatenablog.jp

■15年前に書いたものだが言っていることはおなじ。仲間として迎え入れる用意がないまま自立を迫ると、早くしろ早くしろと相手を追い立てるだけに終わる。文科省不登校は問題行動ではないという。学校復帰ばかりがゴールではないと安心させつつ、おなじ口で不登校には「学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在する」と釘を刺す。土台が脅しでできている。それで不安や圧力から逃れられるわけがない。

■かくして不登校で悩む子供、保護者は減らず、すこしでもリスクを減らそうと頼んだ学習支援は広まるほど、つまり需要が高まるほど、地域差、経済差を生む。孤立する家庭をなくし、格差を埋めるための仕組みをつくるなら、「いや、別にそんなもんいらないぜ」と言える世の中じゃないとダメなのだ。支援が必要ないから支援が役立つ。矛盾したことを言うようだけど、きっとそうだ。(10/21夜)