漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

止まり木ではなく

■障害の分野で、医療モデルから社会モデルへと支援のパラダイムが変化して久しいが、不登校の分野では医療モデル的な「早期対応」「原因究明」といった対応がずっと続いている。ただ、これは無くならないだろうと考えている。なぜなら、不登校は学齢期のみに起こる、期間限定の事態だから。対応しないと進学時期が来ちゃう、社会に出ることになっちゃう、という状況だけが当事者とその家族には降りかかる。それに対応するには、どうしたって医療モデルで本人を変化させるように関わりたくなるのは当然だろうと思う。

■当にこの状況を指して、古山明男さんは「制度公害」という言葉を使っているわけだ。学校に行かない時期があっても、進学や社会参加に於いて不利にならない世の中であれば、対応を急がず環境調整で不登校支援を行うことができる。不登校支援を環境調整によって行える世の中にしていくことが、制度公害への対応であるとも言える。

■ちょっと話は飛ぶけれど、この時に思うのが「居場所」に対する支援者の思い入れの強さだ。これ、時間が限定されているのをカバーするためではないだろうか。なんか以前も似たようなことを書いた気がするけれど、時間が限られている分、空間で自由を保障するみたいなところは無いだろうか。でもさ、やっぱり本質的には時間の保障が必要だと思うんだよ。別室登校している生徒に付き合っていても「来週にはクラスに戻る」というような話をよくしているんだよな。まあいいんだけど、止まり木みたいな使い方しないで、だらだら過ごしたっていいんじゃない?などと思う。(水曜日)