漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

そのCOCOLOは

■例の「COCOLOプラン」だが、年度の変わるぎりぎり、3月31日に発表され、同日に文科省から教育委員会ほか宛てに通知が出された。
www.mext.go.jp
通知では、不登校特例校の設置や校内教育支援センターの設置、教室以外での学習の評価、保護者支援、学校風土の「見える化」などの取り組みの「速やかな推進」を指示。

■見てもらえばわかるが、「COCOLOプラン」はかなりボリュームがある。これをするのに、人は、予算はいかほどつくのか。「校内教育支援センター」は、いま「相談室」や「校内フリースクール」と呼ばれているものに新たな名をつけたんだろうが、設置するにも運営するにも人手が取られる。その分、教師を増やすあてはあるのか。一人一台端末と呪文のように唱えるが、それを見る教師は何人いる。30人の端末から上がってきたデータを「ひとり」で処理する担任の姿が目に浮かぶ。

■「学校風土」については、2月の調査研究協力者会議とりまとめによれば、公益社団法人子どもの発達科学研究所オリジナルの尺度を用いていた。吹田市がここと提携して学校風土の調査をしている。また、生徒個々の心身状態の把握にこの法人の開発した「デイケン」というアプリを利用している。「COCOLOプラン」にも「一人一台端末を活用した心や体調の変化の早期発見を推進」という項目があり、おそらく吹田市の施策が全国展開されるのだろう。さて、全国の教師はそれを扱えるのか。そして、子どもの発達科学研究所は全国の学校に対応する余力があるのか。

■通知によれば、今後は文部科学大臣を本部長とする対策推進本部でプランの進捗状況を管理するという。3月31日にでかでかとプランを発表されて(しかもちょっと素敵っぽく見せるデザインで)、すでに教育委員会には通知済みですと期待をあおられ、新年度から速やかに推進せよ、進捗状況も管理するぞと言われて、教育委員会も学校もやってらんないだろうな。補給を無視して華々しく計画をぶち上げ、現場は屍累々ってもう見飽きたんですけど。もう、あんまり申し訳なくて、教育委員会にこのプランの話できないもの。文科大臣のメッセージに「私自身が先頭に立ち」とありますが、いや、どう見てもあなた一番奥にお座りですよ。

■最後にちょっとだけ真面目なことを(いや、ここまでも真面目ですけど)。「COCOLOプラン」の、「障害や国籍言語等の違いに関わらず、色々な個性や意見を認め合う雰囲気がある」「外国人の子供等が自らの『長所・強み』を活用し可能性を発揮できるよう、多様性を尊重し つつ、共に学び合える環境を整備します」という文言にひっかかっています。それは「雰囲気」の問題なのか? 「認め合う」ほど対等な状況に置かれているか? 求められているのは「『長所・強み』を活用」した「可能性」の「発揮」なのか? それは「多様性の尊重」なのか?

■「権利」って一体なんだろうと考えてしまうのです。