漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

一旦保留

■9月14日の日誌で、フリースクールを支援するならこういう形がいい、と希望を書いた。その裏には、「フリースクール支援」とか簡単に言っちゃうけど、それってこんな課題を含んでるんだよ。それでもいいの。できないでしょオラオラ、という気持ちがあったのだが、見誤っていたかもしれない。もしかすると大きな再編が起きるのかも。

フリースクール支援の項目は、文科省平成27年度概算資料請求、「新しい時代にふさわしい教育制度の柔軟化の推進」という項目の中にある(ほかは「小中一貫校の推進」と「中学夜間学校の充実に向けた取組」)。詳しく見ると、予算9800万円のうち、検討委員会に設置、運営に4400万、フリースクール等の調査研究委託に5400万が割り振られている。委託団体は18団体なので、一団体あたり300万円の支援ということになる。

■ただ、研究委託先はフリースクールに限らない。適応指導教室や、教育課程の弾力化を進める実践、ICT等活用事業、チャレンジスクール、通信制高校などを含めての18団体で、正直、これを「フリースクール支援」と呼ぶのは無理があるように思う。フリースクールは単なるアドバルーン、広告塔ではないのか。本丸はむしろ「教育課程の弾力化」。こっちの方が「教育制度の柔軟化の推進」という項目と合致する。

■少し前、「公設民営の学校設立を検討」というニュースが流れた。今回のフリースクール支援は「学校の市場開放」「そのための教育制度改革」という大きな流れのごく一部なのではないか、と疑っている。エリート教育を進めるというより、現行の学校制度から漏れる子供たちを救う、とした方が聞こえはよい。そのために「柔軟な教育制度」を進める。たとえば教育委員会を通さないような仕組をつくるなど。

■「それぞれが自分に合わせた教育を選ぶ」という理屈は素晴らしく聞こえる。実際、俺もそう主張したことがある。しかし、それはどこをどう選んでも不利益にならない、という前提があってのことだ。公教育が保障してきた教育の権利や質と引き換えにした「教育の選択」は選択に見せかけた競争だ。しかも熾烈な。

■まだまとまっていないのでうまく書けないのだが、教育制度を根本から揺るがすことになると、簡単に賛同できない部分もあるのだ。たとえば、「新しい時代にふさわしい」という枕詞は2002年の中教審「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」から使われている。教育基本法改正と同じ路線に乗った流れではないのか。「フリースクール等プロジェクトチーム」座長の亀田氏は以前から憲法89条改正、自治体首長の権限拡大を訴えている。このタイミングで憲法改正に踏み込んでいいのか、などなど。以前に書いたことは一旦保留。動向を見定めます。