■来客の多い金曜日。札幌市教育センターの職員が3名来て、不登校についてあれこれ話した。後志振興局から職員が2名。星園で会議室を借り、親の会を試験的にやってみるという人が顔を見せたり、利用者が来たり。誰でも来られる場所なので、ある意味ちゃんとつかわれている。
■フリースクールへの利用料補助を求めて各自治体へ同時多発的に請願が行われている。「不登校児童生徒に対して多様な学習機会の確保のための経済的支援制度の確立を求める意見書」を採択し、政府・関係省庁へ意見書を提出してくれとの要望で、すでに30以上の自治体で採択され、議会提出が決まった自治体もおなじくらいある。
請願書のひな型なども公開されている。ひとりの発信から広まるのが現代的だなと思ったり。
■意見書の中身はふたつ。
フリースクールの利用料補助は保護者としては切実な願いだろう。よく見るフリースクール利用料月平均3.3万円は2015年のデータで、いまはどれくらいなのか。不登校の児童生徒はそのころの倍、家庭の経済状況は当時より悪くなっているだろう。この請願が広まるのもわかる。
■一方で、教育機会確保法を軸にしたのは筋が悪いと思っている。あの法律は名前のとおり不登校の児童生徒の教育機会を確保せよとの内容で、要は「学校へ行かなくても勉強はできるようにせよ」ということだ。「学校へ行かない子がたくさんいるので、その子たちも勉強できるよう国は対策を講ぜよ」と保護者が要求する。よしわかったと予算がついたとして、さて子供はどうだろう。なんとか学校を休んだら、「学校のようなもの」が現れて、そこへ行け勉強しろと言われる。「学校のようなもの」で学ぶ中身が学校と違ったり、自由度が高かったりする保障はない。むしろ、公金を投入する分、学校に準ずる内容を求められる可能性が高い。
■家庭への経済的支援がほしいのは痛いほどわかる。そもそも義務教育は無償なのだ。なので基本的には応援しているのだけど、確保法をもとに運動をするなら、多数の反対意見、懸念事項があったのを知ってほしい。子供に「多様な」教育環境を与えるつもりが、家にまで学校が押し寄せてがちがちに縛られたなんて洒落にもならない。
■個人的には項目のふたつ目、「いわゆるフリースクール等民間施設の設立及び運営補助金等の経済的支援制度の確立を講じること」がおもしろいと思っている。「設立」への支援制度。これは本来「学校設立の自由」にかかわる内容で、不登校に限定したものではない。「不登校の子どもの権利宣言」もそうだけど、もともとある権利や自由を概念をあえて狭めて要望するのは、あまりかしこい選択には思えない。