漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

卒業なんて知らないよ

■もうすぐ3月も終わる。もう名乗るのを止めたとはいえ、昔なじみの多いフリースクール界隈でも世の中の学校と同じように卒業式ブームだ。「学びを止めない」でも無いけれど、漂流教室には卒業という仕組みは馴染まないと思い「旅立ち」とか「卒業」というような行事はやってこなかった。それを茶化した「率業式」という名のカレー大会はやっていたが。
hyouryu.hatenablog.jp


■卒業というゴール地点は、単なる通過点であることを許さない。そこに至るまでの間に様々な基準をクリアする仕組みが作られている。仕組みは個人に内面化されて「卒業して一体何わかるというのか」(by 尾崎豊)のようにそれを巡る不安や葛藤、怒りを生み出す。それを乗り越えた人だけが、生存バイアスを共有する感動に酔いしれるのが卒業なのだ。卒業の日に思い出す日々の裏には、思い出されずに埋もれていく多くの日々がある。不登校だと、同じだけの時間を生きていたはずなのに学校に行っていなかった日々は「何もなかった」という言葉で言い表されてしまう。卒業という制度は、そこに生の否定を含んでいる。人生の卒業といえば死の暗喩になるのは、それを使っているわけだ。

■多分必要なのはゴールではない。日々生きてきたことの振り返りなのだ。それはいわば博物館やそこでの展示会のようなものだ。というようなことを、小樽文学館で数々のゲームを巡る展示会をやってきたハイロウくんとこないだ話していた。
otarubungakusha.com
そういえば以前に漂着教室で「題名のない発表会」というやつをやったな。あれは、復活させていいな。
hyouryu.hatenablog.jp