漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

帰り際の告白

■訪問先の子がその日訪問で一番スタッフに話したかったことは、訪問の終盤、または別れ際に出ることが多いです。それまでずっとアニメや漫画の話をしていたのに、さてそろそろ時間だと思って荷物を片づけ始めた時、あるいはさて帰ろうかと玄関に行って靴を履いている時に、「実はこの間…」と出てきます。

■逆に訪問に行って腰を下ろした瞬間、開口一番「この間こんなことがあってね」と話してくれる場合もあります。違うのは、訪問の最初に出る会話は楽しかった話で、帰り際の出る話題は、相談だったり落ち込んだいる話が多いということです。

■そういう帰り際に出る話って、話すことにすごく勇気がいることだったのかなと思います。また、家から出ていくスタッフに言い捨てて、そのまま外に持って行ってほしい気持ちだったりもするのかな。言い終えた子は、じゃぁまたねと言っていつも通りお見送りしてくれます。

■訪問スタッフを数年経験していると、この帰り際の告白の経験は何度かあり、出たときは「きた!」と思います。その話を聞き出せたことが嬉しく思った事もあります。でも、その時の自分の対応に納得できたことはありません。なんて言ってあげればよかったんだろうとか、なんて答えればよかったんだろうとか、答えを求めてたのかすらわからなくて、聞いているだけでよかったんじゃないか、余計なこと言ってしまったんじゃないかとか考え、落ち込みます。訪問後は落ち込んでいることが多い私です。

■ですが、これって訪問だから特別に考えてしまうだけで、よくよく考えてみたら、久しぶりに会った友達に「最近どう?」なんて当たり障りのない会話をしつつ、お酒が進むにつれて「実はさ、ただの愚痴なんだけど、聞いてよ。」という私と一緒だなと思いました。私の場合、ラストオーダー後の会計が来るまでの時間に話したり、店を出てから駅に着くまでに話すことはよくありした。私の場合、それは、今日のこのタイミングで話そうとか、話すなら今しかない!と思って話しているわけではなく、ふと、あ、そういえばと出てくることが多いです。

■だから訪問先で「帰り際の告白」に出くわしたって、こっちは無駄に身構える必要もないし、緊張する必要もないんだと思いました。言う本人は、今のその調子のまま聞いて欲しいわけだから、逆に真剣になられると言いにくかったりする。全部が全部、自分の経験に当てはめて考えているわけではありませんが、こういう考え方もあるんじゃないかと思いました。他にみんなが経験した「帰り際の告白」の話があれば、聞きたいな。