漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

平成26年度不登校児童生徒支援連絡協議会

■この協議会に出るのは5年ぶりか。全道から適応指導教室の指導員や青少年自然の家の職員、教員、教育委員会職員など100名余が集まった。昨年度の不登校の人数と原因分析、スクールソーシャルワーカーの講演、実践発表(どろんこクラブの金城さんも発表)、グループ協議で3時間。なんというか手応えがない。

■今回のテーマは「連携」だったらしい。「連携とは情報交換のことではありません」と講師は言い、それはまったくその通りだけど、では一体なんなのか。英訳をしてみたり、国の方針が目的不明となげいたり(確かにそれもその通りなんだけど)一向に要領を得ない。グループ協議では、みんな困っていることだけはわかった。困っているのはそれぞれのブロック内で対応しようとしているから。なので、そのブロックをうまく配置してくれる「支柱になる人」を求めている。

■こういう話を聞くと、いつもバームクーヘンが頭に浮かぶ。それぞれに足りない部分がある。イメージとしては扇形。その先端部分がない。それでみんなで「連携」だって集まると、きれいに真ん中が抜けた円ができる。そうして、足りない部分は常に足りない。この真ん中の穴を埋める「支柱」がほしいという話で、そいつは無理だろうと思う。個別すぎるもの。

■必要なのは「支柱」じゃなくて、それぞれがブロックの枠からはみ出ることだろう。行政機関には難しいのかもしれないけれど、民間団体の入りづらい地方は公が手を広げるしかない。そんな話をしていたら、うちの適応指導教室は義務教育終了後も遊びに来たら受け入れてますという話が出て、ちょっとほっとした。もうひとつ。学校の疲弊はもう限界を突破していると感じた。本当につながりをつくりたがっているので、うまく入り込んだりできるかもしれない。

■面白かったのは、不登校の児童生徒対象の自然体験事業をしている三団体の比較。適応指導教室からの参加が主の砂川、厚岸と、フリースクール利用者の多い森でIKRという調査方法の数値がはっきり違う。「積極性」「明朗性」「思いやり」「身体的耐性」など14項目について、事業前と事業後で変化を見る調査方法なのだが、前二施設は項目ごとのばらつきが少なく、円に近い形になっているのに、森はいびつなグラフになっている。「自然への関心」や「まじめ勤勉」が比較的高いのに対し、「日常的行動」や「交友・協調」は極端に低い。この年だけのたまたまなのか。フリースクール適応指導教室の利用者で差があるのか。これはほかの年も見てみたい。

■ところで「IKR」とは「生きる力(ikirutikara)」の略なんだそうだ。えー。それはちょっと「視野・判断」の項目が低いのでは。