漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

2つの取り組み

■紹介するのが遅れてしまったが、今週月曜の毎日新聞朝刊「教育の森」に、「不登校5年ぶり増 救う作戦、明暗」という記事が載っていた。大阪府福島県、2つの自治体の取り組みを対比した記事だ。

福島県は、いわゆる「3015」という数値目標を掲げた、積極的な登校促進活動を行っている。「3015」とは、不登校の子の学校復帰率30%、不登校削減前年比15%を意味する。しかし、案に反してと言うべきか案の定と言うべきか、不登校は前年より8%も増加した(学校復帰率は目標に達している)。

■一方、大阪府は、不登校対応の専任教員を配置。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを交えたチームでの対応を2005年から行っている。その結果、不登校の子は大きく減った。

■本記事はこちらで読める。大阪府の対応にも疑問は残る。チームを組み、部外者を交えるのはいいが、結局「学校復帰」が最終目標のように見える。戻れればそれに越したことはないが、戻れない場合、他の道を選べる仕組になっているのか。ゴールを設定しての関係機関の団結は、時として子供を追い込む。

■また、他のデータでの比較も欲しい。例えばイジメの件数、生徒児童の自殺件数。昨年の文科省の調査では、福島県は児童生徒1000人あたりのイジメの件数が最も少ないらしい。それと不登校の数には関係があるのか。この記事自体が、不登校の数の多寡のみを取り上げている。せっかく面白い比較なのだから、別の角度からの切り口が欲しい。


■明日はフリースクールネットの交流会。なので、「漂着教室」は休み。ちょっと天気が心配だ。晴れろとは言わないが、雨降るな。