漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

地域について(その1)

■結論から言えば、"地域"なんてないよ、ということなのですが、それでは一行で済んでしまうので、もう少し続けます。

■続けざまに小学生殺害事件が起こり、"地域"で子供の安全を守ろう、という声が高まっています。が、例えば、学校の統廃合で広い校区をバスで通う子らがいます。学校近隣に住んでいる人にとって、そういう子たちは"同じ地域の子供"なんでしょうか。他所からやってきて他所に帰って行く、くらいにしか思えないのじゃないか。それで誰が何を守るのかと、俺は疑っています。

■いや、仮令"同じ地域の子供"だとしても、やっぱり守らないのじゃないか。というより、そもそも住んでいる大人に"地域"なんて概念があるのか。多くの家庭では、朝家を出て、離れた場所にある職場に出勤し、そこで一日の半分を過ごして、夜帰宅するというスタイルです。その人にとっての生活空間は、家の中と駅までの道のりで、そこだけが"地域"です。車での通勤ならば、玄関までしかありません。それで誰が何を守るのかと、俺は疑っています。確かに同じ区域に人はいますが、いるだけです。互いの関心はない。子供がいるということは理解してるでしょうが、存在に関心がないのに、安全に関心を持てるわけがないでしょう。

■今さら言っても栓ないことですが、住んでる場所で生計を立ててこその"生活"で、生活しててこその"地域"です。生産の場を暮しの場と切り離してしまったことで、"地域"も一緒に切り離してしまったと俺は理解しています。

■子供の安全を守るため、通学路への監視カメラ設置も検討されているそうです。監視カメラと、通学路に個人商店が軒を連ねるのと、どっちが効果が高いだろうか、という話です。来週末に続きます。