漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

星槎セミナー「若者の居場所を考える−不登校・中退・引きこもりの青年たち−」

■参加者60人ほど。思いのほか集まった。まず司会である日本青少年育成協会副会長、川野辺氏が居場所のない若者の現状について簡単に発言。ついで、講師3人がそれぞれ自身の活動から思うところを述べた。特に意見の交換ということもなく、めいめい勝手に話しただけなので、心配した(期待した)ハプニングというようなことはなかった。その代わり新しい発見があったということもなくて、3人の話を聞きながら、もし俺があそこに座ってたらどうするだろう、とぼんやり考えていた。

■自由が丘の亀貝さんは2つの軸を持っているところが強みだ。学校とはかくあるべし、教育とはかくあるものだという信念が亀貝さんにはある。しかし、同時に、そこからはみ出してしまう子供のことも考えている。決して片方に流れない。元教師で、12年間フリースクールを経営してきたからこそのスタンスだと思う。

■札幌VOは独自のネットワークを持っていて、その中でいろいろな形で支援を行っている。活動自体が強みだ。代表の杉森さんは表現者だけあって、ものを伝えるのが上手い。大きな声で簡潔にわかりやすくはっきりと話す。この夏、VOの子供たちが道南に演奏旅行へ出かけた。テレビが追っかけて取材したのだが、そのVTRを実に効果的に使っていた。どれだけ理念を並べても、あの5分のVTRの説得力には負ける。

モグラクラブの平田さんは、自身が言うより常識的だ。正直、話は要領を得ないが、そう変なことを言ってないだろうという安心感がある。世間からはみ出さない。私は偏っている、と平田さんは言うが、例えば俺が「俺、偏ってるんだよね」と言った場合とは恐く響きが違う。あくまで常識の範囲内での偏り、と思えるところが平田さんの強みだ。

■と、よそを分析できたところで、では「漂流教室」はどうか。今回、それぞれの団体がわかりやすい目標を掲げていた。自由が丘なら「今一歩の挑戦」。VOなら「自信という財産を積み上げよう」。モグラクラブは、えーと、忘れた。「漂流教室」にも「どこへでも行く、漂流教室」というのがあるが、これは目標ではなくスタイルだ。形式自体がうちのウリというわけだ。

■しかし、子供と相対すのに何も目標を掲げずに会っているわけではない。奇しくも今日電話が来たが、学校なり何なり、子供が次の行動を決めるまでのつなぎ、それが「漂流教室」の役割だ。踏み台、ロケットの切り離し、表現は何でもいい。成長の一過程となること。そのためにあれやこれやしてるのだろう。よし、これでいつ講師に呼ばれても大丈夫だ。
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