漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

オッペンハイマー

■映画「オッペンハイマー」を観に行った。金曜日にチケットをオンラインで買って、夜なんとなく楽しみで朝四時過ぎまで寝られなかった。上映は10時20分からだというのに。映画の公式サイトは無かったので、NHKの監督インタビューを貼っておく。
www3.nhk.or.jp

原子爆弾を作るマンハッタン計画のことは、ウィキペディアやネットの記事を見たりしてどんなことがあったのか大まかには知っていたが、オッペンハイマーにフォーカスしたことは無かった。自分の興味は原子爆弾そのものにあったので、プロジェクトの推進役には興味が薄かったという感じだ。野球でいえば、監督より選手や記録にフォーカスしていたようなことである。映画はオッペンハイマーの伝記映画だったので、善くあろうとする自己の魂が国家プロジェクトや周囲の人間関係の中で、思うように生きていけない葛藤が描かれていた。葛藤は個人の心の内で起こるものだが、それは対人関係の中だけではなく所属する社会、国家、世界と自分とが、相互に複雑に絡み合って生まれるものだと感じた。映画の中では、恋人の死という極私的な葛藤が、映画を見ているものからすれば如何に大きなものと繋がって起こった出来事であったか感じ取ることができるように描かれていると思う。こういう神のごとき視点で人の有様を見ることができるのは映画の醍醐味だけど、実際は苦しみの中でもがき呪うだけの時間を過ごすものだろう。しかし、映画の中でオッペンハイマーの妻が恋人の死にショックを受ける彼にたいして「罪を犯しておいて、その結果に同情しろと?」と語りかけることで正気に引き戻したように、個人と個人の繋がりの中の、ふとした瞬間や言葉が世界と自分の繋がりを感得させる原動力になるのだろうとも思う。

■ということで、核兵器について考えさせてくれる映画かというと、ちょっと違う。ので、原爆被害が描かれていなくても特に問題は無いと思ったよ。

■その後訪問し、夜回り。夜回り後の打ち上げで、最近来ている人が相馬の大学の後輩とわかったから今度飲もうという話になったよ。(火曜日)