■栗田隆子氏のインターネットラジオをようやく聴いた。配信までの経緯は11月25日の山田の日誌で説明されているが、発端となった東京シューレの性加害事件と不登校新聞社の関係が俺にはずっとよくわかっていなかった。
■たとえば2020年2月にはかつて不登校新聞の編集長でもあった、フリースクールフォロの山下さんがこのようなブログを書いている。
maigopeople.blogspot.com
読むと、事件の起きたログハウスシューレを不登校新聞が積極的に取り上げていたこと、また同社の長野通信局をこのログハウスに置いていたことがわかる。なるほど、無関係ではあるまい。だが、「東京シューレ不登校新聞性加害事件」と言われる(そのように呼称する人もいた)ほどの関係があるだろうか。シューレの事件を報道しない姿勢は大いに不満だが、シューレと並列にはできないだろう。そう思っていた。
■ところが、すこし前に加害者は長野通信局の責任者でもあったと知った。だとしたら話は違う。加害者は不登校新聞社の社員になる。当然、社にも責任がある。
■それまで得た情報からは、俺にはこの関係はわからなかった。だが、おなじ情報でピンと来た人もいた。わからなかったら聞けばよかったのだ。なぜ不登校新聞社をシューレと並べるのですかと。やれることはいろいろあった。そうしなかったのは、どこかで不登校新聞社は無関係だと思い込んでいたせいだ。なので、報道責任を果たさないことへの不満は述べつつ、不登校新聞の紹介は変わらずしていた。事件が発覚しても周囲のあつかいが変わらないなら、加害自体がたいしたものではないとメッセージを発したことになる。それだけでも被害者への攻撃だが、そもそも加害者が支局の責任者だと教えてくれたのは被害者本人なのだ。俺が事態を低く見積もっていたばかりにどれほどの負担をかけたか。汗顔の至りだ。
■「社会を変える前に手を止める、足を止める」と栗田氏は配信で話していた。自分はちっとも止まってなかったんだなと思う。ぼんやりと状況に流され、被害を聞き流していた。止まるとは抗うことでもある。まずは止まろう。不登校新聞社も「足を止め」事件への見解をしめしてほしい。
■会社といえば、シューレの事件でもうひとつ引っかかっていたことがあった。山下さんのブログにもあるが、世田谷区からの問い合わせに対し、事件は管理委託をしていた会社のスタッフが起こしたと東京シューレは説明している。だったら、シューレはその管理会社相手に裁判を起こしてもよかったのでないか。自団体の利用者が委託先から暴力を受けた。被害者を支え、加害者を訴えるのがシューレの役目だ。だが、実際は反対の行動を取る。ログハウスを閉め事件自体なかったことにした。
■シューレOBが興した会社だったからとか、宿泊型フリースクール自体はシューレの事業で責任追及を恐れたからとかいろいろ考えられるが、腑に落ちない。そうしたら最近、シューレのスタッフがそこの会社の役員をしていたと知った。シューレがその会社を訴えたとして、自分が自分を訴えるような構図になる。それは訴えないだろう。
■さらに、事件後に会社は解散したと思っていたら、シューレのスタッフが役員を続け、そのままシューレで保有していたのもわかった。あるときから名前を変え、シューレ関係者が始めた別の会社になる。「その委託先とは、現在は関わっていない」との世田谷区への説明はまったく嘘だったことになる。
■対応のめちゃくちゃさにあらためて驚くが、自分もそのめちゃくちゃを放置、あるいは支持していたと自戒しておかないと、またおなじ過ちを繰り返す。自身が止まるため、ここに楔を打っておく。これまで何度かおなじことを言っては失敗しているが、失敗するからこそ何度でも打っておかなくては。