漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

てらつな研修会

■宗派を超えて社会貢献をしている北海道のお坊さんたちのグループ「てらつな」に研修会講師としてお呼ばれして、お話しをしてきました。今回は「『子どもを助ける」人たち」というタイトルで、子ども食堂の研究をしている拓殖大学北海道短期大学工藤遥先生と北大の櫻井義秀先生と鼎談もしました。

■お寺で子ども食堂をやっていたり、お寺おやつクラブという仕組みでお寺に集まったお菓子を支援団体に寄贈したりなど、お寺が子供の貧困に対してアクションを起こしていることは知っていました。今回は工藤さんがまず子供の貧困状況について統計から概説し、主に胆振地方の子ども食堂の話をしてくれました。資料が詳しかったので欲しかったな。

漂流教室での子供の貧困について話すと、後志での生活困窮世帯の学習・生活支援事業がメインになりがちなのですが、今回はそれをちょっと変えてみました。漂流教室自体の訪問や居場所での利用者との接し方で、子供から若者にかけての成長に伴う様々な課題が見えてきます。その課題に対して、自分たちの力だけでは関われないので、様々な団体や個人と連携してきました。考えてみれば後志もその一つなのです。そうした、漂流教室から見える不登校から始まる若者の課題を総ざらいしたような話をしました。

■参加者はみなお坊さんなのですが、自分たちが見てきた子供像にとどまらない色々な課題を考える必要があると分かったという声があったのは良かったです。また、鼎談で櫻井先生から「ひきこもりについて触れなかったのは意図があってですよね」と問われたのはさすがだなと感じました。ひきこもりを子供・若者の課題とするのはおかしいと考えているので、不登校については語りましたが、ひきこもりについては敢えて語らなかったのです。

■今回のお誘いは、夜回りで知り合ったお坊さんから誘われ、行ってみると後志でつながっているお寺の尼僧さんもおり、鼎談の櫻井先生は自分が学生の時から北大にいて、今は同期の友人とつながっているという人間関係の網に掬い上げられたようなものでした。新しい視点でやってきたことをまとめることもできたし、大変良かったです。(通信より転載 11/2)