漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

デマを支えるもの

■いまから100年前の1923年9月1日。11時58分、相模湾北部を震源とする巨大な地震が発生。関東一円に大きな被害をもたらした。関東大震災。最大震度6。住宅損壊37万件、死者は10万人を超えた。

地震の混乱のなかで朝鮮人共産主義者が井戸に毒を入れたと流言飛語が飛び交い、多くの被害が出た。詳細についてはいくつも本が出ている。

さらに実際の事件をもとにした映画が、まさに今日、公開される。


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1923年9月1日11時58分、関東大地震が発生した。そのわずか5日後の9月6日のこと。千葉県東葛飾郡福田村に住む自警団を含む100人以上の村人たちにより、利根川沿いで香川から訪れた薬売りの行商団15人の内、幼児や妊婦を含む9人が殺された。行商団は、讃岐弁で話していたことで朝鮮人と疑われ殺害されたのだ。
映画『福田村事件』公式サイトより

■遠い昔の話ではない。いまでも大きな地震が起きると外国人犯罪のデマが流れる。東日本大震災でも2018年の大阪府北部地震でもあった。流す側は冗談のつもりなのかもしれない。だが、言葉は容易に人を動かす。1994年にルワンダで起きたジェノサイドではラジオによる煽動が大きな役割を果たした。

■「これは革命なんだ、人口の10パーセントに過ぎないのに国の全てを握っているツチ族を打倒しなければ、真の民主主義は達成できない!」 当時、ラジオはこのように煽り立てたらしい。民族を老人に変えれば、最近、似たような話をコメンテーターがしていた。

nordot.app

共同通信によれば松野官房長官は、関東大震災当時の朝鮮人虐殺について聞かれ「政府内において事実関係を把握する記録は見当たらない」とコメントを避けたとのこと。事実関係を調査する気はなく、マイノリティへのヘイトスピーチ対策にも踏み込まなかったとある。このような対応が流言飛語を後押しする。すくなくとも政府はとがめないのだ。ほかの報道では「特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、暴力や犯罪はいかなる社会でも許されない」と述べたとあるので、表向きは否定しているようだが、具体的に行動する気はない。なんなら「なかった可能性」までちらつかせる。

■事実関係の調査をためらう。はっきりとがめ立てしない。この言葉はフリースクールにも返ってくる。東京シューレの性加害事件でもそうじゃなかったか。黙っているうちは自身もデマと弾圧を支える側にいる。