■山がすっかり緑になった。街なかではライラックの花が咲いている。例年より二週間ほど早い。午前中はボランティアスタッフの送迎。午後から漂流教室の通常総会。
■昨年度は新規の利用がすくなかった。問い合わせがあってもスタッフが足りず受けられなかったケースもあるのだが、そもそも利用者における不登校児童生徒の割合が減っている。
■理由は漂流教室のこれまでにある。「訪問型フリースクール」を掲げ、学校に行っていない子供たちの学習支援とメンタルフレンド活動をメニューに団体を立ち上げた。それが、次第に学校に行っているかどうかは問わない、年齢も関係ない、「フリースクール」の看板もはずしてしまった。設立からの20年は不登校から遠ざかった20年と言っていい。そりゃ割合も減りますよ。目指した方向へ正しく進んでいる。
■ざっくり描くとこんな感じ。目的も役割もない原っぱを志向していたらそうなっちゃった。中にいる分にはいいけれど、外から見れば戸惑うだろう。入りづらい店どころか店がないんだもの。
■利用者全体はさほど減っていない。長く関わっている人がいるからだ。学校を卒業しても成人しても、つかいたければずっとつかえる。そういう場所は案外ない。それはそれでいいのだが、一方で、目指した方へちゃんと進めているなら、あらためて不登校を旗印にしてもいいだろうとも思う。
■2002年度に13万人だった不登校児童生徒は現在24万人にまで増えた。教育機会確保法成立以降、「学校以外の学びの場」「選択」を合い言葉に、不登校の子向けのさまざまなサービスが生まれた。なるほど。確かに選択肢は増えたのかもしれない。ところで、子供は休めている?
■子供になにかさせよう、身につけさせよう、楽しく過ごさせようと懸命な業界に、古めかしい「休み」の旗をかざして乗り込んでみようか。そんな気持ちがある。「休みの国」計画(仮)。
■だって、かつては「休みが足りない」なんて言葉もあったのだ。十二分に休んでからじゃないと、学校に戻ってもすぐリタイアするよと。子供の身体がすぐに頑丈になるわけはない。いまだってたっぷり休む必要はあると思うが、どうか。
■大上段に「休む」を掲げて、さてわかってもらえるかとの危惧もあるのだが、そのへんはやりながら考えよう。2023年度からはひさしぶりに不登校のフィールドに戻ろうか。(5/8夜)