漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ありがたい話と不登校の話

■いつもの夜回り後の打ち上げに、九州から支援してくれている人がやってきて、参加している人全員の飲み代を払ってくれた。聞けば、全国を旅して歩いては面白いと思った人に資金援助をしているらしい。ありがたい話である。もう七十歳も超えていて、おれが生まれた頃に初めて北海道に来たことやその時やった牧場の話、そこの子がもう孫がいるなど若かりし頃の話を聞かせてくれた。

■その席上、札幌市でスクールカウンセラーをしている人と知り合うことができた。今のコロナで不登校を巡って何が変わったのかという話になり、飲みながらつらつら考えてみた。相馬の日誌でもコロナ休校からの不登校についての報道を取り上げていたが、実はあの記事の前に別の記者から漂着教室に電話があった。その時には、コロナ後に不登校が増えているか、という話を記者が聞きたがっていた。数が増えるという話は多分当たりだろう。でも、自分の観察範囲で見えていることだけで全体のことを語ることには、注意を払っておきたいと思う。その上で、やはり、数が増えたということを問題にすると、その数をどうするかという話に収束していってしまうことを危惧する、という話をした。

■コロナ後に学校に行くことを止めた(とめた、と読んで欲しい)人の中には、学校に行かなくても毎日の生活ができると気づいた人が結構いるのではないだろうか。どうも、支援者もこれまでに自分たちが会って来た不登校像に引っ張られて、変化に適応できない/気力を失っている/周囲に合わせられないといった、大人から見た時のマイナスなイメージで語っている気がする。学習も遊びもご飯を食べるのも友人との付き合いも家族との付き合いも全て、学校に行かなくても出来るしということに気づいたことで、学校に行かないことを自分の中で肯定しやすくなったことはないだろうか。更に、そうした子供の選択を見る親の視線も、同じようにこれまでよりも幾分か肯定的になることはないだろうか。

■つまりですね、これまでの枠組みと違うことが起きているのですから少し丁寧に慌てず関りましょうよ、と思っているのですよ。(月曜日)