漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

いるつら再考

■ソウアライブの研修で「居るのはつらいよ」を書いた東畑開人さんの講演を動画で視聴することができた。コロナ下での「ただ居るだけ」についての考察が面白かった。

■コロナ下では「ただ居るだけ」が不要不急のものとなり、「居てはならない」が正しいこととなる。彼の仕事であるカウンセリングでも、対面が中止されオンラインに切り替わる例が出てきた。オンラインで相手と繋がった時、改めて「ただ居る」ことの価値を再確認したという。

■そして、オンラインでの繋がりは感染しないという安心を生むが、対面している身体が無いというのは、暴力を受ける可能性がありながら受けなかったという経験を無くすものかもしれない、という。オンラインは畢竟言葉のやりとりになるだけなので、対面なら起こり得る物理的な可能性が全て無くなる。人間の存在は心身二元論で捉えるものではなく、まさしく「居るのはつらいよ」に出てくる、心と身体を一つに捉える「こらだ(こころ+からだ)」という言葉のごときものだ。その存在が、相手との不安定な関わりを自分でコントロールできるものにしていく場が居場所なのだろう。そこに「ただ居る」ということの価値は大きい。

■東畑さんが、コロナ流行以降人権について考えることが多くなった、と話していたのが印象的だった。漂流教室の中でも、同じ傾向があると感じている。こりゃ、今後のトレンドかもしれんね。