■『カムイ外伝』にも第二部はあるけど、一昨日の日誌で寺沢くんが書いているのは『カムイ伝』第二部じゃないかなあ。日置領の猿の話から始まるやつでしょう。
■札幌市教委主催の「第一回札幌市いじめ等対策連絡会議」に出る。今年6月に「札幌市いじめの防止のための基本的な方針」が策定された。それを受けての会議で、PTA協議会、小中高の校長会、児童養護施設、児童相談所、子ども未来局、法務局、道警など関係機関があつまり年に二回開催されるという。
■方針の名称からもわかるとおり、いじめをどう「防止」するか、ということに力点が置かれていた。起こってしまってから、特に重大な事態になってからの対応は難しい。防止を目指すのはわかるが、結局は「早期発見・早期対応」で「不登校」対応と同じにおいがする。もともと、去年までは「いじめ・不登校対策連絡協議会」だったので当然か。非行もだが、どうしても「芽を摘む」という発想になるらしい。
■早期発見のためには、小さなトラブルのうちから把握したい。把握のためには相談をしてもらいたい。ところが生徒が相談に来ない。アンケートで「誰にも相談しない」という回答が17%近くあったりする。そのくせ、SNSには書き込んで、それが新たなトラブルの火種になる。どうすればもっと相談する生徒が増えるだろうか、というのが課題だそうだ。確かに相談は難しい。相談するためには、自分の状況を俯瞰でき、それが「おかしい」ものだと認識でき、状況と感情を表す言葉を持ち、誰にいつどうやって伝えるかを選択でき、相談すればなんとかなると信じられる経験がいる。なかなかできることではない。できなきゃ、そりゃSNSにも書くだろう。つぶやきは相談の第一歩だ。
■だから、生徒のつぶやきを聞けるところが校内、校外にあってほしい。いじめは固定された人間関係のなかで起きる。ちょっと外れた人、外れた場所があり、そこへ行く時間がある。配布資料に札幌自由が丘学園が出した「フリースクールからのメッセージ」を持っていった。夏休み明けに子供の自殺が増える。「学校がつらい」と思っている人へ向けたメッセージだが、読めばどれも、生きていく場所、時間、人間関係は選んでかまわないんだと言っている。個々が自由に動ける隙間のあるところでは、つぶやきを聞く余裕も生まれるのじゃないか。
- 作者: 中井久夫
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1997/08/09
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