漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ソフトの展開

川崎市の子ども夢パークは素晴らしい施設だったが、素晴らしいがゆえに弊害もある。川崎市でも同じような施設はつくられず、市の南側に住む人は使いづらい。近隣の自治体も参考にするどころか、列車一本で夢パークに行けるのだからつくる必要がないと考える。ハードは大切だが、ハードに頼った施策は真似しづらい。「居場所」を増やすなら、持ち運びできて、どこでも展開できるものが必要だ。

■たとえば月寒公園プレーパークの会の奥田さんは「プレーパークはネットワークのためのツール」だと言った。子ども食堂を開いた家の庭先でもプレーパークをしている。とまこまいフリースクール検討委員会の藤井さんは深夜徘徊やいけふくろうの会のような「ソフト」を別の地域に移植、展開している。kacotamの学習支援も場所に依らない。場所を提供してくれるところがあれば、そこで開催することができる。教育フォーラム「子どもの居場所のつくりかた」に呼んだ団体は、どこもハードに頼らない活動をしているところだった。後から気づいた。やってみて初めて自分の狙いがわかるいつものパターン。

■まとめではハード、ソフトの話に加え、「目的」と「入口」の話をした。ついつい目的を懸命に考えてしまうが、たとえば「不登校の子供の学習機会を提供したい」としたら、学校に行っている子は来られないのか。登校してる友達と一緒に利用したいとなったらどうする。目的と入口を一緒にすると、実は誰も利用できない。入口はできるだけ大きく開いていた方がいい。さらに「子どもの居場所」を考えるなら、彼らの使える時間と移動能力を考慮する必要がある。ちなみに、これらの課題を一気に小さくするワイルドカードが「お金」だ。

■もうひとつ。「居場所」と聞くと、つい実際に居る場所を想像してしまうが、実は行けるポイントとポイントのあいだが「居場所」なのではないか、という話もした。時間が、移動能力が増えれば行けるポイントも増える。ポイントが増えれば居場所も広がる。そのようにして人は世界を広げていくのではないか、と。だからこそポイントは多い方がいい。ポイントの中のポイントもほしい。

■もっと誰かに話して深めたいので、またなにか企画しよう。北海道フリースクール等ネットワーク主催「子どもの居場所のつくりかた」。2月21日(日)開催。参加者50名。ソフト重視の内容だったせいか、「なにかやってみようという気になった」といった感想が多く見られました。(2/22夕)