漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

新規・継続・除外

■30日の不登校相談会は6つの親の会と5つのフリースクール、そして北星余市高校と札幌遠友塾(夜間中学校)とバリエーション豊かな布陣になった。相談に来られたのは13組17名と前回より少なかったが、それぞれじっくり話をし、なんとなく晴れやかな顔になって帰っていった。「相談会」と銘打ってはいるが、目的は「ため込まず話をすること」「ほかの人の経験を知ること」「新たなつながりをつくること」のみっつなので、親の会の情報を確かめていった人が何人もいたのはよかった。

■さて、これもおそらく同じような目的を秘めているのじゃないかと思うのだけど、「保護者のための第二回セルフリンパケアとおしゃべりのつどい」があります。2月27日(土)13:00から、場所は漂着教室にて。専用のブログができたのでリンクを貼っておきます。気になった方は連絡してみてください。
※かめがゆく→http://kamegayuku.hatenablog.com/entry/2016/01/29/142419

朝日新聞不登校の特集を組んでいた。毎年、「新規」の不登校児童生徒が6万5000人増える。文科省もこれを問題視。不登校後の対応ではなく、「休みがちな子どもの状態や学習状況、友人関係などの情報をまとめたシート」を作成し、早期発見と未然防止に力を入れると記事にあった。「休みがちな子ども」の時点で「不登校後」の対応じゃないかという気もするが、まあ、それはいい。「新規」と「継続」という見慣れない用語も置いておく。記事の図では、6万5000人の新規増のほか卒業3万8736人、復学2万3786人が統計から除外されるとあった。この「除外」された子供が気にかかる。彼らはもうなんの問題もないのだろうか。不登校の特集だとはいえ、視点が学校へ通っているかどうかに偏り過ぎではないか。

■または不登校になったときの「心の回復のプロセス」。回復は「沈黙→爆発→言語化→信頼→回復」の段階に分かれていると、階段を上がる図とともに解説している。確かに、おおまかにはこのような流れで進む。ところでそれはステップアップなのか。神奈川で相談機関「ヒューマン・スタジオ」を運営する丸山さんは著書で「人生に遠回りはない」と書いた。遠回りしてもいいじゃないか、という物言いが、人生には正しい道があることを暗に示す。しかし、その人の人生は常に一本道でしかないはずだ。途中に歩きやすい道と歩きづらい道があるだけだと。

不登校・ひきこもりが終わるとき

不登校・ひきこもりが終わるとき

もしかすると、「回復」という言葉も、正しい状態があると暗に示していることにならないだろうか。階段の図は妥当なのか。単に、その人の人生の一過程にすぎなくはないか。そんなことを思う。

■もちろん、個人の人生だからほっとけばいいという話ではない。旅は道連れと言うし、他人との道行きが悪路を越えやすくすることはあるだろう。悪路が坂道なこともあるだろうから、階段が明らかにおかしいというわけじゃないのだが、あの図だと、切り離された地点から正しい道に戻るように見える。でも、その前もその後も道はずっとつながっているよね。

■夜、NHKスペシャル「ママたちが非常事態!? 最新科学で迫るニッポンの子育て」を観る。育児の不安や苦しみを母体のメカニズムから読み解く。身体にそういう仕組みがあることはわかったが、だったら制度としてどう支えるのか不明。雑学番組。(2/1夕)