漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

ズレの原因

フリースクール全国ネットワーク(フリネット)の総会に参加するため東京へ。ひさしぶりの王子シューレは向かいの駐車場がマンションになっていた。二年ぶりくらいになるのかな、来たの。

■「多様な教育機会確保法案」についてフリネットは推進ではなく、むしろ歯止めの役割を果たすべきでは。すでに「多様な学び保障法を実現する会」が推進に向けて動いているのだから、フリネットは各方面の不安や懸念を拾い、法案が子どもの権利を損なわないよう動くことを活動方針にしよう。そう提案に行ったのだが、結論から言うと、法案推進の活動方針をくつがえすには至らなかった。ただ、方針の細目に、

  • 子どもの権利条約を尊重する
  • 各地で学習会などを開催し、意見を集約する
  • それをもとに切れ目なく政策提言をおこなう

を盛り込むことはできた。落としどころとしてはそんなところかと思うが、逆にいえば、これらが議案には入っていなかったということで、それはどうか。

■新しくわかったこと。「制度利用を希望しない子は現状のままでいい」「個別学習計画は親子で話し合って決めるもので、子供の意見が反映される」「個別学習計画には休息も含まれる」。ただし、これらは文章になっているわけではない。奥地さんが委員として入っている「フリースクールに関する検討会議」で奥地さんが主張し受け入れられた、ということでしかない。

■ただ、そういったやり取りや、議連の議員との接触、もうひとつの委員会である「不登校に関する調査研究協力者会議」の傍聴などを通して、フリネットなりに手応えを感じているのだろう。法案成立後、検討委員会でさらに内容をつめる。意見はそこで通せるのだから、今は法案成立に邁進しよう。その理屈はわかる。それは裏返せば、法案に自分たちの意見を盛り込めるのは、委員である今しかないということでもある。「今しかない」というある種の焦りはそこから生れるのだろう。

■であればフリネットの役割はやはり、さまざまな意見を集約し、代表者として討議の場に持っていくことのはずだ。正直、今のままでは各地の学習会がうまく行くとは思えない。逆説的な言い方になるが、詳しく説明すればするほど溝がひらく。ほしいのは不安や懸念を受け止めてくれることであり、「ていねいな説明」ではない。「ていねいな説明」は往々にして、不安を持つものに理解を求め、説得し、反論する。フリネットが当事者の代弁者ではなく、行政の露払いになる。このズレを解消しない限り、学習会は、各地によけい不安を届けることになるだろう。それは「推進」にマイナスにしかならないと思うのだが。

■まあ、方針の細目に「意見の集約」も入るし、学習会まで待っていることはない。自分たちでまとめてドンと送ってあげましょう(6/29午前)

6/29夜追記:
手応えは感じているかもしれないが、具体的な担保があるわけではないので、実際にどうなるかはわからない