漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

確保法見直しの意見を持って行きました

■おお、木曜日になってしまったとは情けない。それでも報告を。

フリースクール全国ネット総会とその後の教育機会確保法を巡る最近の動きについての学習会に、確保法見直しの意見を持って行きました。漂流教室とそこに寄せられた意見は個人・団体が合同で考えたものも含めて、全部で6つになりました。どのような意見があったかは、出した方の了解が取れれば公開しようと思います。その前に読みたい方は個別に連絡をください。

■さて、総会と学習会には東北・関西・四国・九州など全国から関係者が来ていました。総会はNPO法人の経営に係ることを決めねばならないので、色々議決した最後にある「その他」のところで話しを出しました。一通り読み上げましたが、総会としては意見を受理したということで終わり、討論についてはその後の学習会で行うことになりました。

■学習会では最近行われた文部科学省フリースクール等に関する検討会議」などの報告がありました。5/13、6/7、6/21と立て続けに会議があり、その間5/16にフリースクールと夜間中学の議員連盟の合同会議が入ってたそうです。で、なぜこの予定は以下の文書にある予定に従って進んでいるとのこと。今後は秋に議連を開いてとりまとめをして、法律改訂の必要があれば来年五月頃に進めるということでした。ということで、どんな話があったかの前にスケジュールをお伝えすると、秋の議連までに再度意見を出して、特に議員に向けて話す必要があるということです。ちなみに北海道選出の議員もフリースクール議連にはいるので、そちら経由で話をするのも大事だと思っています。

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確保法の施行状況検討スケジュール

■さて、これらの会議に出席したフリースクール全国ネットからは、

  • とにかく時間が無かった。しかし、ここで意見を言えるようにするためにフリースクール全国ネットとして資料を提出した
  • 馳議員が出してきた「個別学習計画」は唐突なものだった
  • 限られた時間の中で、文科省が出している法律の今後の対応について、言えるだけのことは言ってきた

という報告がありました。文科省や議連であらかじめ考えられている、確保法の現状と課題そしてその対応がまとめられている文書があるのですが、恐らく今後はそれを元に見直しについて論議が進むと思われます。これについては、今後漂流教室でまた意見を募集したり話し合う会を設けようと考えています。

フリースクール全国ネットとして、評価してもらいたい取り組みとしては、「学校への復帰」という文言をこれまでの文科省自治体・教育委員会の通達等から削除するという働き掛けがありました。これは議連の馳議員も強く文科省職員との問答で働き掛けをしていて、夏に見直しを目指して作業しているという言質を取っています。ただ、このやりとりは馳議員が就学義務のあり方が確保法見直しの大きなポイントであるという自論を補強するために、職員に「就学義務という一言を引き出したくて」(議事録より)したものという流れのものです。「学校への復帰」が無くなることで自由な教育を認めるという理念の話にはならず、学校に復帰せずに就学義務を認めるにはどうするかという手続き論になる恐れがあります。それはうまく使うと自由な教育を射程に入れた手続きができるという可能性も秘めてはいるのですが、これまでの法律制定までの流れを見ると学校教育法21条にある教育内容を大幅に超えることを議員が認めることは難しそうです。

■さて、こちらから持って行った意見に対しての討論について。まず、個別学習計画については、反対する意見が出席者からもありました。上記したように、ここについてはフリースクール全国ネットとしてもびっくりしたようではありました。ただ、推進する原動力たる東京シューレの奥地さんは元来個別学習計画を推しているので、明確に否定はしていません。今後も多くの意見をまとめることで、引っ込む可能性は高そうです。ただ、これは元から引っ込めることを前提に出してきたのではないか、という穿った見方もしています。議連、中でも馳議員の思うところでは就学義務の扱いをどうするかというところまではわかっています。拒否反応が強い個別学習計画を出してそれを引っ込めたところで別の案を出してくるというのは作戦としてあるかもしれません。

■情報公開については、相変わらずフリースクール全国ネットでは意見を聞いてきた、これからも聞きますというスタンスではありました。なので、やはり多くの意見を持ち寄りましょう。会議の日程や議事録を発信することは事務局が頑張ってくれるということなので応えなくては。とりあえず、全国ネットは忙しさの余り自分たちの周りの意見に向かいがちであるとは思うし彼らも自覚はあると思うので、たくさんの意見を出してあげましょう。なお、ネットワーク内の事ではありますが、全員が賛成できない意見を代表名で出すことにはかなり抵抗しておきました。「財政支援にも反対の意見があるが、それも代表名は書くなということか」などという意見がありましたが、だからと言って書いて全く問題なしということにはならないのであり、最低限の手続きをせよという問題なんですけどね。議連や文科省には待ってもらいましょうよ、そこは。

■色々と話して時間的には相馬が飛行機ぎりぎりになるくらいまでには延長してやりました。その後は有志で飲み屋に行って第二ラウンド。まあ、大した話はしていない。夜は千葉のフリースクールネモの代表うみけるのとこに泊り、月曜に見学してから札幌に帰ってきましたとさ。おしまい。(木曜)