漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

嫌日本

■とはいえ、1月30日の日誌については俺もエラそうなことは言えないので、中高生のころご多分にもれずアメリカ嫌いだったのはやはり当時の世相の影響を受けていたに違いなく、ならばあれだけ本屋に反韓嫌中の本が並ぶこのご時世に中学生が韓国中国嫌いと言うのもわからなくはないが、といってあんまり偏った情報を鵜呑みにするのもいかがなものか、だって中国汚いからイヤだなんて君、たんつぼというものを知っていますか、かつて日本の駅にはもれなく柱のわきに壺がおいてあって、カーッ、ペッとそこに痰を吐いてためていたのですよ、それをすすりに来るじじいがいるという都市伝説もあったのですよ、という話から話題は腹腹時計、道庁爆破事件にまでおよび、それにしても奇妙なのは以前の俺も今ヘイトを叫ぶ連中も実は等しく日本嫌いなのではないか、結局はアメリカのもしくは韓国の中国の、ロシアのインドの東南アジア、アラブ諸国の後塵を拝すような日本はイヤだ、許せぬ、どうにかせよこの阿呆どもめと自国民を責めているに過ぎないのであって、ということは巷には常に嫌日本があふれている、この場合「嫌日本」は「嫌日」と「本」に区切るのが正しいので「嫌」「日本」ではないのだが、どちらでも同じことか、そうかこれが自虐というヤツに違いないと膝を打つはずが、自虐という言葉がいつも他人に向けて発せられることの奇妙さに、下ろした手が空振りして床を叩いて痛い。自爆。


■最近、フリースクールをつくりたいという相談が立て続けに三件入った。心強いしうまくいってほしい。その場所がわからないとアドバイスも難しいので、ちょっとあちこち見て回りたいな。あと、こういう相談が増える背景は当然なにかあるので、この国の子供を巡る状況がどうなっているかを見ていかねばならない。

■安倍首相は昨日の施政方針演説の中で、ある母親からもらったという手紙を引き合いにフリースクールに言及した。多様な学びを保障する仕組みをつくり、貧困の連鎖を断つ。そうして、誰にでもチャンスがある、みんなが夢に向かって進んでいける社会をつくるという。あの首相についてはすっかり色眼鏡がはまってしまっているので、字句通りには受け取れない。それでもなんとか補正して、やはり違和感が残るのは、結局ひとつの価値観しか示されていないからではないか。頑張れ、そうすれば報いよう、という。わざわざ引いた手紙の結び、「多様な人、多様な学び、多様な生き方を受け入れ、認め合う社会を目指す日本であってほしい」という願いは届いているのか。
第189回国会施政方針演説:https://www.jimin.jp/news/parliament/127056.html