漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

やり直しのシステム

■「社会が継続して仲間を受け入れる体制をつくらないと自立はできない」「困難はいくつにも重なっている。単独であることはほとんどない」「誰でも利用できる居場所をつくることが大事」「ボランティア同士の振り返りと経験のシェアが重要」「戻ってきたくなったらいつでも戻ってこられる場所」「学校はもっと外部資源に頼ろう」。俺が言っているのではない。さいたまユースサポートネットの青砥さんの発言だ。さっぽろ子ども・若者地域支援協議会の研修で青砥さんを呼んだので、オブザーバー参加してきた。

■青砥さんが常に触れていたのが、「地域につなげる」ということだった。地域につなげなければ支援にならない。統計を見ると、進学校ほど親が安定した職につき、家を持ち、家族仲もよく、学校が嫌だと思った経験も少ない。一方、学力困難校に貧困その他もろもろの問題が集中する。ドロップアウトしやすい環境が整っている(というのも変な言い方だが)上に、中卒や高校中退者に対する社会的支援は、労働市場への参加も含めほとんどない。これは「社会的排除」であり、社会的に排除されたものは社会的に包摂されなくてはいけない。それが、彼らのよりどころになる「地域へのつなぎ」だと青砥さんは説く。公的な責任で「やり直しのシステム」を構築すべきだと。

■さいたまユースネットでは5つの事業をしているが、すべて要は「居場所」だと青砥さんは言った。学習より居場所だとも言った。じゃあやっぱり漂流教室の方向は間違ってないんだな。一時間弱の話では見えない部分も多い。一度見学へ行かねば。

■資料に書かれた一文が重い。「教育は不平等を再生産する道具となる」(P.ブルデュー)。そうならないための教育だったはずなのに、確かにいま、この言葉の通りになっている。
さいたまユースサポートネット:http://www.saitamayouthnet.org/


■事務所近くで火事。消防車で一時騒然。