漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

市教委と民間施設の懇談会

■本当は一年に三回予定されている市教委と不登校児童生徒に関わる民間施設の懇談会だが、今年は市教委の都合で二回になってしまった。12月1日に行われた一回目についてはここを参照。今回の懇談について、札幌自由が丘の亀貝さんの記事はここ

■二回目の懇談の前に、どのような話をするか市教委の担当者と電話で打ち合わせをした。前回までの間に、フリースクールの間では道教委と懇談が行われており、今後実のある話をしていこうという機運が高まっているところだ。そして、フリースクール等で子供を育てる親の会も立ち上がっている。こうした周囲の状況は市教委に変革を促すことになると思い、打ち合わせの中でも、・どのような話をフリースクールと行いたいか市教委の中で検討して懇談に望んで欲しい・毎回の懇談で現状報告に時間を割くようなことはしたくない。一回報告した現状等は市教委の中で引き継いで持っていてほしい、というような話をした。後者については、フリースクールからも資料を残る形で渡すので、実行してほしいと告げた。

■しかし、かく言うフリースクール側も参加した団体はわずか三つだった。それぞれ毎日の指導がメインであることは百も承知だが、この状況が続くようではそもそもフリースクールの側に市教委と交流する気が無いと思われても文句は言えまい。フリースクールが孤立している状況というのは、全国大会でも感じていた。それは周囲のせいというよりも、フリースクール自身に他と繋がって行こうという姿勢と実際の行動が欠如しているように思えてならない。

■参加した三団体のうち一つは後半からの参加だったので、最初はうちともう一つが延々と最近の状況を話し、市教委の人がそれに関して質問をしていた。今回ぼくのスイッチが入った話は、不登校の対応として学校復帰以外を考えることが何故難しいかの教育委員会からの説明だ。学校としては学校復帰以外の選択肢を提示することもしてきたそうだ。例えば、相談指導学級であったり、家で休むという選択肢であったり。しかし、それを出すと「学校から見放された」「学校はあきらめるのか」といった反応をする保護者がいて困るそうだ。

■他の選択肢を提示された親が学校に反発を覚えることについては、二つの対応が必要だと思う。保護者が感情的な反応を見せることについては、その原因は感情を刺激する何かを現場が出しているということだから、対応する教師一人一人の語りを点検することだ。自分たちの意図が正しく伝わるような話ができるトレーニングを積むことは、不登校に留まらず様々なシーンで役に立つはずだ。他の選択肢が学校との断絶感や教育が行われないという不安感を生むことについては、教育が人の育ちという目的を忘れて学校という手段のみにすり替わっているということだから、より多くの育ち方を教育委員会が提示することが必要だ。例えば、他の都市では不登校の児童生徒の居場所(学校復帰目的の相談指導学級にアラズ)を行政が民間に運営を委託している例などもある。不登校であっても人が育つことを行政が支援します、という姿勢が市民に全く伝わっていないから、不安が生まれるのだ。

■そして、「親が反発すると私達はそちらに合わせるしか無く、何もできません」という市教委の根本姿勢が、一見相手のことを考えているようで何もコミュニケーションになっていない。実際の保護者とのやりとりで苦労しているのだろうとは思うけれど、それでも敢えてこう書いておきたい。何故なら、最終的にこの態度を逃げ場にする限りは真剣に自分達のできることを考えることが無いからだ。

■自分用メモ。これまでの日誌のカテゴリーには行政と北海道フリースクール等ネットワークについての話がなかったので追加。(11日)