漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

誰のためか奉仕活動

教育基本法の改正後、大学9月入学を」安倍官房長官


安倍官房長官は14日、自民党本部で開かれた公開討論会に出席し、国公立大学の入学時期について「世界の大体の学校は9月だ」と語り、9月入学の導入を検討する考えを表明した。そのうえで「(入学まで)4月から9月の間に、ボランティア活動をやってもらうことも考える必要がある」と述べ、奉仕活動を義務づける考えも示した。
安倍氏は教育改革の進め方について「スケジュール的には基本法改正をし、その上で国民の英知を結集して議論を進めたい」と語り、教育基本法の改正後に教育改革に関する有識者会議を設置する意向を示した。また、安倍氏は「教員免許の更新制度や学校、先生を評価する仕組みを構築したい」と主張した。
(9/14 朝日新聞

■いや、4月から9月までの数ヶ月間だけボランティアに来られても邪魔なんですけど。そのときだけ急激に人が増えてすぐにみんないなくなるくらいなら、最初からいない方がマシだ。それこそ形だけで何の意味もない。どこにボランティアにやるつもりか知らないが、現場をバカにするにもほどがある。

■この阿呆な主張には、こういうもの(産経Web【教育を考える】首相主導で「教育再生」)がくっついていたりする。下村博文衆院議員「例えば、子供たちに、1人で生きているのではなく、社会みんなで助け合って生きているのだと実体験してもらうために、奉仕活動、ボランティア活動を必修化しようという案がある。高校卒業は3月だが、大学入学は9月にする。半年のブランクのうち3ヶ月間は、介護施設などで奉仕活動をしてもらい、その経験がなければ大学に入学させない」。稲田朋美衆院議員「それから、若者に農業に就かせる『徴農』を実施すれば、ニート問題は解決する。そういった思い切った施策を盛り込むべきだ」。

■記事中にはもっと問題な発言もあるのだが、とりあえずそれは置いといて、「奉仕活動」にも「徴農」にも一応理屈らしきものはついている。あんまりテキトーで突っ込むのも馬鹿らしくなっちゃうが、馬鹿らしさの裏には「若者の徴集を公然のこととする」という目的があるんじゃないかと俺は疑っている。福祉団体からこんな希望が上がった話は聞いたことがない。恐らく農業でもそうだろう。欲しいのは予算だ(または仕事自体だ)。なのにこんな案が出るのは、彼らが若者を集めて奉仕させたいのだ。さて、公然となったその先は、どこまでのことをさせるんだろう。

稲田朋美議員は、自民党議員でつくる「伝統と創造の会」という会の会長を務めている。その連中で「軍歌をうたいつぐ会」なる企画を催したりもしてる。安倍政権誕生の際は文部科学大臣に抜擢されるという話もあるとかや。マジか。(9/14夜)