漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

「教育機会確保法の現在地」補遺

■7月15日発行の不登校新聞に「教育機会確保法の現在地」というテーマで記事を書きました。

futoko.publishers.fm

■リンク先に飛んでも会員限定なので読めないんだけど、ざっくり言うと、確保法でフリースクールは学校教育の下請けになりましたよという内容です。そのほかに書ききれなかった「現在地」がいくつかあるので、ここで棚卸し。

  • 「学校外の学びの場」の質を担保するため、フリースクールオルタナティブスクールは相互認証の制度を研究してきた。行政による縛りを入れるのではなく、関係機関が相互に活動を評価する。自主性、自律性を保ちながら活動の質を担保するとの触れ込みだったが、これがただの絵空事だとわかってしまった。東京シューレの件を総括せず相互認証などと言っても誰も耳を貸さない
  • 上に書いたものもそうだし、記事もそうだが、確保法について語ると自然とフリースクールと行政に関する話になる(または教育産業と行政の話)。自分が関係者だということもあるが、そもそもそれがこの法律の本質なんじゃないか
  • 大阪市は「不登校を減らすため」ゲーム規制条例を検討している。教育機会確保法の第13条は家庭介入を後押しするようにも読める。まだゲーム規制と結びついた様子はないが、今後の動きに注意

■以上、ネガティブな指摘ばかり並べたけど、法律という根拠ができて交渉しやすくなった面はあります。ただ、それも3番目に書いたとおり、フリースクールと行政の話なんだよね。それに根拠ができたのは向こうもおなじ。そうなると、あとは解釈の問題になります。その一例が4番で、「現在地」というより「予想され得る未来」の話だけど、こういう使い方もできてしまう(これについては前に書いた↓)。いまのところ無事だからって、ずっと無事ってわけじゃないもんね。

hyouryu.hatenablog.jp