漂流日誌

札幌のNPO「訪問と居場所 漂流教室」のブログです。活動内容や教育関連の情報、スタッフの日常などを書いています。2002年より毎日更新

従属の理屈

■昨年11月に死んだ中曽根康弘の合同葬儀が昨日行われた。内閣と自民党の合同葬で、2億円近い予算が疑問視されていたが、弔意表明を関係各所に送りさらに問題が大きくなった。

文科省では国立大や文科省の機関などに協力するよう文書を送った。都道府県教委にも同様の文書を送り、市区町村教委への参考周知を依頼した。大阪府教委は府立高校への通知を行わず、市町村の小中学校への通知も依頼しないとしたが、東京都のように各小中学校まで周知した自治体もある。

■さて、今回は対象にならなかったようだが「多様な学びの場」はどうなるか。Twitterなどを見ていると「国立大学は国からお金をもらっているのだから、国の要請に従うのは当然」という論調が目立つ。「金をもらったからには従え」という理屈だ。

■多くのフリースクールは長らく公的支援を求めて来た。北海道フリースクール等ネットワークもそうで、札幌市の補助金はその成果のひとつだ。教育機会確保法はもともとフリースクールオルタナティブスクールを公的に位置づけるためのものだった。おそらくいまもそれは捨てていない。念願かない公的な予算がついたとして、上記の理屈に従えば「多様な学びの場」にも通知は下りてくるだろう。従わねばバッシングはもちろん、補助金見直しや交付停止ということもあり得る。日本学術会議の予算は行革対象にされ、あいちトリエンナーレ補助金は不交付となった。

■俺は教育は無償であるべきと思っている。そもそも国際人権規約を批准しながらいまだに高等教育を無償にしていないのがおかしい。また、どのようにも育ち、学ぶ権利が保障されるべきだと思っている。なので、学校以外で学ぶ子供の負担をなくす必要があると考えるが、相当に気をつけないとこんな状況では藪蛇になる。ただ、この危機感はどれほど共有されているか。ひょっとしたら今回すすんで弔意を示すところまであったんじゃないかと疑っている。

日本国憲法第20条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない

教育基本法第14条の2
法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない